吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2019-01-01から1年間の記事一覧

百円の恋

主人公は32歳の引きこもり。見るからに何のとりえも魅力もなさそうな女。離婚して実家に帰ってきた妹と険悪な関係になったために引きこもっていた家を追い出されてしまった。やむなく100円ショップでアルバイトを始めるが、やる気のなさを全身からみなぎらせ…

チチを撮りに

二十歳のフリーターと高校生の姉妹には家を出ていって新しい家族を作った父がいる。既に別れて14年が経つので、妹コハルには父の記憶がほとんどない。ある日父(元夫)危篤の報を受けた父の元妻である母は、娘たちに「お父さんのお見舞いに行きなさい。そし…

ノクターナル・アニマルズ

巻頭いきなりの全裸肥満女のダンスに度肝を抜かれる。この瞬間にこの映画の禍々しさが象徴されていて、これから始まる映画の重苦しさと苦みを観客に覚悟させる。さあ、始まるわよこれから修羅場が! しかし実際には修羅場ではなく、劇中劇が始まるのである。…

30年後の同窓会

ベトナム戦争の戦友3人が30年後の2003年に再会する。そのきっかけは、かつての三人組の一人ドクが「2日前にイラク戦争で戦死した息子の遺体を引き取ってポーツマスまで連れて帰る。一緒に来ないか」とサルを誘ったことだ。サルが経営する酒場にいきなり現れ…

南極料理人

食べてる場面と遊んでる場面ばかりなので、この人たちなにしに南極まで行ってるの?と疑われてしまうじゃないの、と余計な心配をしてしまった。しかし、それだけに美味しそうな場面が素晴らしくて、食後にこの映画を観たにも関わらず、お腹が空いてたまらな…

永い言い訳

本日から連休が終わるまでの間に、今年見た映画の感想を書いていく。さて何本書けるでしょうか~。10連休と言いながら実は当エル・ライブラリーは3回開館し、それ以外にも職員は2日出勤するので、実質飛び石5連休。それでも十分な休養になるので、その間に…

金子文子と朴烈(パクヨル)

原題の「朴烈」を邦題では「金子文子と…」としたことが大正解だ。この映画は朴烈の生涯を語るものではなく、金子文子の鮮烈な生き様を描いているからだ。朴烈の72年の生涯のうち、映画はわずか数年しか描いていない。だが、彼が金子文子と暮らし、関東大震災…

寝ても覚めても

雷に打たれたように恋に落ちる瞬間を奇跡のようにとらえた写真がもしあったとしたら、それがこの映画だ。 長い長い夢から覚める瞬間に、後ろを振り返ることもなく駆けだしてそのまま地球を半周するような非現実的な物語、それがこの映画だ。 わが息子Y太郎(…

ファースト・マン

宇宙飛行士の姿と「ファーストマン」という言葉を見た瞬間に「人類初の月面着陸、アームストロング船長だ!」とわかるぐらい、我々世代にとって彼は超有名人だ。それは1969年7月20日のことである。日本では午前2時頃の出来事であり、当時11歳のわたしは真夜…

2018年の映画

2018年は年末に共同通信社のネットニュースで当エル・ライブラリーを取り上げてもらったおかげで、寄付が増えて大変助かった。ただただ感謝あるのみ。これからも働く人々の記録を未来に伝えるという使命を全うしていきたい。 this.kiji.is さて、2018年の映…