吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン

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 劇場公開していないのに、ゴールデングローブ賞などにノミネートされている。

 「ナイブズ・アウト」で名探偵ブノワ・ブランを演じたダニエル・クレイグがこの作品でシリーズ出演するのだろうか? 今回もなかなか面白かった。

 かなり早めに謎解きが始まるのであまり考えている時間がなかったのだが、本作の魅力は「グラス・オニオン」の名前の通り、巨大な玉ねぎをかたどったガラスのドームが豪邸の真ん中に鎮座するデザインにある。小高い丘の傾斜を生かしたデザインの豪邸はその頂にグラス・オニオンが位置し、ここがパーティ会場なのだ。なんと、ルーブル美術館から借りてきたというモナリザが飾ってある!

 そしてこのプロダクションンデザインと同じくらい魅力的なのが、人物設定。コロナで逼塞している人々の生活模様が面白おかしく描かれる巻頭部分、われらが名探偵も湯船に浸かったままで浴室から出てこない! 殺人事件なのにユーモアたっぷりで、ダニエル・クレイグも楽しそうに謎を解いている。

 物語の舞台はギリシャの離れ島に建つ富豪(エドワード・ノートン)の邸宅で、ここに招待された彼の友人たちが数日間に及ぶ「殺人ごっこパーティ」に興じるというもの。孤島はまさに密室と同じ。ここで殺人事件が起きるのかあ、犯人はこの中にいるんだね、と思わせておいて、いきなりブラン探偵が「事件」の起きる前に謎を解いてしまう。もう笑うしかないが、大富豪はおかんむり。その後、実際に死人がでて本格的な謎解きが始まるのだ…。

 この謎解きをしている時間がけっこう長い。次々ウラを見せてしまうから、もうちょっと観客に考えさせる時間を与えてもよかったんじゃないか。伏線もわかりやすいしね。でもラストは予想とは違ったので、驚いた。豪邸で起きる金持ちや有名人の乱痴気騒ぎってけっこうアガサ・クリスティ好みの設定が楽しい。前作とどちらがいいかは好みによる。どっちも面白かったから、第3作も楽しみである。

 ケイト・ハドソンって何歳になったんだっけ? ものすごくスタイルがよくて皺もほとんどなくて、化け物みたいだ。と思ったら、なんだまだ43歳か。この映画はジャネール・モネイを見る作品。彼女の怜悧な美しさは特筆に値する。(Netflix

2022
GLASS ONION: A KNIVES OUT MYSTERY
アメリカ  139分
監督:ライアン・ジョンソン
脚本:ライアン・ジョンソン
出演:ダニエル・クレイグエドワード・ノートンジャネール・モネイ、キャスリン・ハーン、レスリー・オドム・Jr、ジェシカ・ヘンウィック、マデリン・クライン、ケイト・ハドソンデイヴ・バウティスタ