吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

アナザーラウンド

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 この映画、一部の人には評判が悪いのですが…(苦笑)、でも飲兵衛の映画となれば見ないわけにいかないので。で、見てみたらやっぱりあんまりおもしろくなかった。コメディのはずなのに、実はかなりやばい話になってくる。なにしろ、酒で身を持ち崩す教師たちの話って、それはあかんでしょう。

 そもそもが、とある教員の研究テーマ「血中アルコール濃度を0.05%に保つと仕事の効率が上がる」というトンデモ理論の実証のために始めたことなのだが……。

 やる気のない歴史教師として生徒にもバカにされるマッツ・ミケルセンは、お酒を飲んで授業をすると生徒に大いに受けた。これに気を大きくして、さらにアルコール濃度をあげていく。どんどんあげていくのじゃー。いやあかんでしょ、それは。ともかく教師仲間4人はどんどんアルコール濃度をあげていき、へべれけになる。

 役者連中は本当に酔っぱらっていたのではないかと思わせるほど酔っ払いの演技が素晴らしい。とても演技とは思えない。本当に泥酔していた、に1票!

 この映画の納得できない点その一は、歴史の授業中に生徒に受ける話として酒がらみのお笑いネタばかりしゃべるということ。これはいかがなものか。もちろん生徒の興味を引くためにつかみとして面白い話題を出すのはいいと思う。しかし、歴史教育とはそういうものではなかろう? 歴史上の著名人の面白ネタばかり(それも酒がらみ)集めて生徒を笑わせて。そのあとどうする? そのあとの描写がないから、このマッツ・ミケルセン演じる教師はこういうことばかりしゃべっているのかと誤解を生む。

 さらに、コメディだと思われていた本作が、次第にシリアス度を上げていき、だんだんと暗い展開になるところも楽しくない。飲兵衛としては「飲みすぎ注意」を喚起する映画はもちろん大賛成だが、これはやりすぎでは?

 最後の最後にマッツ・ミケルセンのダンスシーンが爆裂する。ここはまさに最後のクライマックスの見せどころ。ミケルセンは体操選手だったのか? 身体能力の高さは半端じゃない。できればもっともっと踊ってほしいところだった。ダンスというよりはほとんど体操か曲芸のようだった。

 まあとにかく酒はほどほどに。もはや年老いたわたしはあんな飲み方はしないのだが、年に1、2回ぐらいは飲み過ぎることもあるから、要注意要注意。(レンタルDVD)

2020
DRUK
デンマークスウェーデン / オランダ  Color  117分
監督:トマス・ヴィンターベア
製作:シシ・グラウム・ヨアンセン
脚本:トマス・ヴィンターベア、トビアス・リンホルム
撮影:シュトゥルラ・ブラント・グロヴレン
出演:マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、マグヌス・ミラン、ピーター
マリア・ボネヴィー