吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

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 ふつうの映画2本分の内容はたっぷり入っているので、1本で二度おいしいお得な映画! その分、とっても疲れるけどそれはそれでまあ良しとしよう。

 このシリーズは全部映画館で観ているわたくしは、ジュラシック・パーク三部作も全部DVDを持っているのである。そしてまだ幼かった息子たちと繰り返しこのシリーズを見たので、すっかり台詞も覚えてしまった。と思いきや、実は細部は全然覚えていないことが発覚した今作でありました。やっぱり第1作が一番面白かったねぇ。

 で、本作は過去作へのオマージュシーン、オマージュカットがふんだんにあり、ファンを喜ばせることに余念がない。と同時にそれはマンネリをも意味していて、「この印籠が目に入らぬかっ」と叫ぶ水戸黄門と同じ構造。だから、どういう展開になるかは過去作のファンならもう先が見えているし、恐竜三つ巴大戦なんて、ほんと飽き飽きしているのに観ていて飽きないという語義矛盾を生むような面白さ。

 本作の最大の悪人、バイオシン社の社長を演じたキャンベル・スコットがアップル社のCEOトム・クックに似ているのか似せているのか、とにかくティム・クックを髣髴させてしまうので、これはアップル社からクレームが来ないのかと心配になったが、まあ、そこは偶然なんでしょうね(知らんけど)。

 本作はこれまでの2つのシリーズを統合して最終完結させる物語なので、「ジュラシック・パーク」第1作の主要3人が登場することが不可欠であった。それが実現したことがなによりの慶賀である。しかし、映画のストーリーとしてはじらせるのが目的なのか、第1シーズンの3人と第2シーズンの2人がなかなか遭遇しない。ずっとこの二つの部分が並走するので、そのぶん上映時間が長くなる。第1シーズンの3人はもはや老人だからアクション部分は演じられない。それに対して、第2シーズンのクリス・プラットは007並のカー・アクション(というか、バイク・アクション)を演じている。しかも舞台はマルタ島ですからね、アメリカ映画のテイストというよりも007に近い。

 本作は第2シーズン「ジュラシックワールド」三部作の最終話だから、第2部を覚えていないとちょっとまごついてしまう。で、わたしはその前作を完璧に忘れていたので、設定がさっぱりわからなかった。でもわからなくても楽しめたので、やっぱりこのジュラシックシリーズってお子様映画なのだ。

 とりあえず強欲な企業があって社長は金目当てでどんなことでもやる人間で、という前提がないと成り立たない物語。でもそもそも30年前の映画の、ジュラシック・パークを作ったハモンド爺さんは必ずしも金目当てではなかったはずだ。少年のようなキラキラした目で、恐竜を蘇らせたいという夢を語る爺さんだった。そして、自分の孫を喜ばせることに生きがいを感じるような。孫たちを喜ばせる恐竜ランドを作るんだ! でもそれには巨額を投資せざるを得ないから、やっぱり金は儲けなくては困る。という感じであったが、今度の最終話では、金儲けしか考えていないCEOが登場する。ここに時代の流れを感じるのだ。もはや夢を語る資本家が生き残る余裕がないのだろうか。そこまでアメリカの、世界の資本主義は末期にきているということを示唆しているのではなかろうか。

 などと余計なことを考えなければ大変楽しめる映画であった。前作では最後に恐竜たちは世界に放たれてしまっていた。メイジーという10歳の少女は主人公たちに引き取られることになる。それから4年。世界はどうなったのか…… というのが、この最終話。

 巨大イナゴの大発生によって食糧危機が目前に迫るとき、バイオシン社の種を使った畑だけがその被害を免れた。これって変よね。というわけで、その真相究明に乗り出したエリー・サトラー博士は、旧知のアラン・グラント博士の発掘現場を訪ねる。懐かしいねえ、この二人、結局結婚しなかったのね。

 いっぽう、メイジーを引き取って山奥で育てていたオーウェンとクレアは、14歳になったメイジーが好奇心と自由を求める気持ちから自分たちに逆らうことに難儀していた。そんなオーウェンの前になんと、ベラキラプトルのブルーが子どもを連れて現れる。ブルーはかつてオーウェンが調教したラプトルであり、たいへん知能が高い特異種であった。

 バイオシン社の悪だくみを暴こうとする人々の動きが二つの流れを作って物語は動く。観客はハラハラドキドキしながらその様子を見るのだが、とりあえず主役は死ななということはわかっているので、そこは安心してよい。あとは、いろいろ納得できないご都合主義の展開にどこまで目をつぶれるかが勝負の物語。

 しかし先にも書いたように無駄に話が長い。ちょっとだれかけるのであるが、でもアクションに次ぐアクション、恐竜に次ぐ恐竜。イナゴにつぐイナゴ。このあたりの過剰さが本作の特徴であり、観客を眠気から救う仕掛けである。もちろん最後はハッピーエンド(かな?)なので、家族そろって安心して見に行きましょう~。

 で、わたしは本作を見終わってから、全然覚えていなかった第2シリーズ第1作と第2作を慌ててAmazonプライムビデオで復習しました(飛ばし飛ばし観)。そうかあ、そういう話だったのかあ(←あほ)。

2022
JURASSIC WORLD: DOMINION
アメリカ  Color  147分
監督:コリン・トレヴォロウ
製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグほか
脚本:エミリー・カーマイケル、コリン・トレヴォロウ
撮影:ジョン・シュワルツマン
音楽:マイケル・ジアッキノ
テーマ曲:ジョン・ウィリアムズ
出演:クリス・プラットブライス・ダラス・ハワードローラ・ダーンジェフ・ゴールドブラムサム・ニール、ディワンダ・ワイズ、マムドゥ・アチー、BD・ウォン、オマール・シー、イザベラ・サーモン、キャンベル・スコット、ダニエラ・ピネダ