吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

グリーンランド ―地球最後の2日間―

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 こういう大作はやはり大きなスクリーンで観たいもの。大迫力で面白かった。

 本作はこれまでさんざん描かれてきた地球滅亡物語の1バージョン。巨大彗星が衝突して地球が壊滅に近づく今、アメリカ政府は大厄災後に必要となるエリートたちを避難させるべく、選ばれた人たちに連絡を取っていた。主人公のジョンは建築技術者として腕を買われて家族ともどもシェルターに逃げ込むことが許された一人である。しかし、期限までに空軍の飛行場に到着せねばならないが、町中がすでに大パニックに陥っている今、彼らは無事にシェルターにたどり着けるのだろうか?

 というパニックアクションもの。こういう映画を見ると、つくづく我々文系人間はさっさと死ぬしかないのだろうなと痛感する。選ばれた者たちだけが助かり、その他大勢は死ぬしかない。現実社会の椅子取りゲームが見事に反映された物語。「アルマゲドン」と異なる点は、ジョンが一介の技術者にすぎず、スーパーマンよろしく隕石を打ち落としに宇宙に出かけたりせず、家族を連れて右往左往している点だ。

 選ばれた人々の椅子をめぐって何人もの人々が争い、諍い、殺しあう。これは壮大なノアの箱舟とも言える。選ばれたものだけが箱舟ならぬ、グリーンランドにあるシェルターに逃げ込む。大多数の人類は滅亡する。なにかの天罰なのか? 資本主義社会ってこういうもんだよ、これでいいの?と見た人が反省して、社会を変えようとか思うかな。思わないだろうなぁ。

2020
GREENLAND
アメリカ / イギリス  Color  119分
監督:リック・ローマン・ウォー
製作:ジェラルド・バトラーほか
脚本:クリス・スパーリング
撮影:デイナ・ゴンザレス
音楽:デヴィッド・バックリー
出演:ジェラルド・バトラーモリーナ・バッカリン、デヴィッド・デンマン、ホープ・デイヴィス、スコット・グレン