吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

ジョジョ・ラビット

画像13

 ウサギも殺せない臆病な少年ジョジョは周囲の少年たちから「ジョジョ・ラビット」と囃されていた。そんな心優しいジョジョヒトラーに心酔し、密かに総統を心の友として暮らす日々を送っていた。

 父が出征し、美しい母と二人で暮らすジョジョにとってはヒトラーこそが父の代替存在だった。その総統はしばしばジョジョの前に突然現れ、ジョジョを叱咤激励する。自分にしか見えない幻影のヒトラーととともにジョジョは悩み成長する。

 そんなある日、自宅に密かに美しいユダヤ人少女が匿われていることを知ってしまった彼は、そのエルサという少女と語り合うことによって彼女に惹かれていく。しかも、少女を匿っているのが愛する美しい母だとわかってそのこと自体を隠しておかねばならないジョジョは大混乱に陥る。混乱しながらもなんとかつじつま合わせをしてエルサと交流を続ける。

 コメディなのかシリアスなのか微妙な演出なのだが、子ども視線でヒトラーを見ればああ見えるのか、というのがよくわかる映画だ。しかし本当にかつての少年たちにはそう見えたのかは不明だ。

 愛する母親の真実の姿を知り、そしてその末路を目撃した彼は、大人になっていく。母の靴ひもを結ぶこのシーンは心をかきむしるような優れた場面だ。少年の成長にこれほど大きな犠牲が必要とは! ナチスものはもう飽きたという人にこそ見てほしい。(レンタルBlu-ray) 

2019

ドイツ / アメリ

  Color  109分

監督:タイカ・ワイティティ

原作:クリスティーン・ルーネンズ

脚本:タイカ・ワイティティ

出演:ローマン・グリフィン・デイヴィス、トーマシン・マッケンジータイカ・ワイティティサム・ロックウェルスカーレット・ヨハンソン