吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

TENET テネット

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 去年の10月11日、3年ぶりに帰国した息子Y太郎と一緒に映画館で鑑賞。もちろんIMAXで見たけど、意外に画面の大きさを実感することがなかった。とはいえ、音響の迫力はお尻から響いてくる感じで体感できた。

 物語はノーラン監督が大好きな、時間軸いじりたおし系。いきなりウクライナの劇場でテロが起きる。そこへやってくる特殊部隊の警官隊たち! しかしこれが偽のテロ事件であり、潜入していたCIA捜査官が謎の男たちに捕まって拷問を受ける。でもこれが実はテストだったとか? なんだかよくわかりません。つじつまが合っているのかどうか不明なまま物語はすいすいぐいぐいと進んでいく。

 CIAがらみの研究所には未来から送られてきた時間逆走器具があって、それが第三次世界大戦を阻止するためには必要なんだかとかなんだかんだ。全然話が見えてこなくてさっぱりわからないんだけれど、とにかくマッチョな捜査官(デンゼル・ワシントンの息子だって!)が不死身の大活躍。悪者はロシアマフィアの武器商人で、今はロンドンに住んでいる大金持ちのアンドレイ・セイターということまでは調べがついている。で、その超美人の妻に近づくことを指令された捜査官は、そのために空港の倉庫に収納されている絵画の贋作を燃やすという大胆な作戦に出る。

 このあたりの理屈がよくわからない。なんでそんなことのためにそんな大掛かりなことをするわけ?! 飛行機を倉庫に突っ込ませるんですよ、並大抵じゃないね。ミュージアムの収蔵庫によく使われているハロゲンガスが突出する場面を初めて見たわ! この飛行機突入大作戦で撮影に本物の飛行機と本物の空港を使ったというから恐れ入りました。

 あとは自動車逆走カーチェイスとか、見たことのない場面を見せてくれるのはいいんだけれど、やたら派手派手しいだけであんまりおもしろくない。ただまあ、どうやって撮ったのかものすごく不思議で、特にYはそこに興味津々だったようだ。

 何といっても見せ場はロシアマフィアのセイター親分の妻! 背が高すぎる! 画面からはみ出しそうだし(笑)。で、その背の高さというか足の長さを生かしたスリリングな場面があって思わず笑ってしまった。よくぞこの場面を考えてくれましたね、ここが最高によかった。ところでこの人、背が高すぎて足が長すぎてスーツが似合っていない。モデル出身なのになんということでしょう。

 前半の伏線がクライマックスで回収されていくところは爽快なんだけど、結局タイムパラドクスは解決できていないと思う。そもそも時間逆行の理屈がまったくわからない。わたしはさっぱり理解できなかったのに、Yは分かったらしくて、あとで解説してくれた。でも解説されてもなお納得できない。むううう。

 そうそう、主人公に名前がなかったことにあとからパンフレットを読んで気が付いた。

 映画を見た後はユニクロで買い物して、贅沢にも二人で喫茶店で一服。英国屋に入ってケーキセットとワッフルセットを注文した。ワッフルがものすごく美味しかったので感動したわ、たまにはいいね、こういうのも。

2020
TENET
アメリカ Color 150分
監督:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマスクリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソンエリザベス・デビッキ、ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソンマイケル・ケインケネス・ブラナー、マーティン・ドノヴァン