吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

僕のワンダフル・ライフ

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  犬の映画ならこの人!というわけで起用されたのかどうかは知らないが、ラッセ・ハルストレム監督作品。輪廻転生ならぬ、輪廻犬転である。人生ならぬ犬生についてあれこれと犬目線で語る映画だから、「吾輩は犬である」の世界である。 

 とにかく犬が可愛い。主人公のベイリーという名の犬は、なんども生まれ変わっていろんな犬になるのだけれど、どんな犬に生まれ変わっても可愛い。性格がいい。

 物語の始まりはキューバ危機に揺れるアメリカの田舎。ケネディ大統領時代から始まる何十年もの物語を紡いでいき、そのときどきの流行音楽がかかる。サイモンとガーファンクルが実によかった。絶妙のタイミングで「四月になれば彼女は」がかかるとちょっとゾクっとした。

 犬は飼い主よりも先に死ぬ。これがつらいので、わたしはもう二度と犬を飼いたいと思わない。この映画を観て、小学生のころから15年間実家で飼っていたシロのことを思い出し、またもやウルウルしてしまった。犬は賢い。自分の名前をわかっているし、飼い主家族のヒエラルキーも理解している。うちのシロはわたしの父に叱られたらシュンとしていたが、わたしや弟が叱っても全然効果がなかった。「お父さんは怖いねんなぁ」と感心したものだ。

 して、本作ではベイリーが何度も生まれ変わるから、そのたびに赤ん坊犬が登場して、これがまた可愛くてかわいくてたまりません。ベイリーにとって幸せな一生だったりそうでなかったりと飼い主によってその犬生が著しく変わってしまう、というのはかわいそうなことだ。

 この物語でベイリーが何度も生まれ変わるのには理由があったのだ。それは、彼が愛してやまない飼い主のイーサンにもう一度出会うため。そして、イーサンを幸せにするためなのだ。ベイリーは人間の言葉のすべてが理解できるわけではないけれど、人が恋に落ちる瞬間の甘い匂いがかぎ分けられるし、飼い主が幸せかどうかもちゃんと匂いでわかってしまう。人間よりよほどコミュニケーション力があるんじゃないか。

 芸達者な犬の演技に感動し、ほろりとさせる幸せな映画。もう二度と犬は飼わないと思ったのに、この映画のせいでちょっとだけ「飼いたいなぁ」と思ってしまったよ。(Amazonプライムビデオ) 

(2016)
A DOG'S PURPOSE
100分、アメリ
監督:ラッセ・ハルストレム
原作:W・ブルース・キャメロン『野良犬トビーの愛すべき転生』(新潮文庫刊)
脚本:W・ブルース・キャメロン、キャスリン・ミションほか
音楽:レイチェル・ポートマン
出演:ブリット・ロバートソン、K・J・アパ、ジョン・オーティス
ペギー・リプトンデニス・クエイドブライス・ガイザー  
声の出演:ジョシュ・ギャッド