吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

ラバーズ・アゲイン

 登場人物の心理はまったく理解できなかったが、大変面白く最後まで見ることができた。劇場未公開なのが残念だが、華となるような役者が出てこないのだからしょうがないか。いや、63歳のデブラ・ウィンガーの美貌がまだまだある程度は保たれているところを見てファンは喜ぶかも。

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 さて物語は。とある熟年夫婦はまったく互いへの関心も熱情も失われたかに見える日々を送っていた。互いに愛人を持ち、その愛人との新しい生活への一歩を踏み出そうとしていた。そんな夫婦の一人息子が久しぶりに帰郷することになった。しかも恋人を連れてくるという。夫婦はそれぞれが離婚の好機ととらえていた。息子が帰ってきたら言おう、離婚したい、と。

 しかししかし。離婚の決意は固いはずなのに、なぜかこの二人は煮え切らない。互いに愛人がいることは秘密であるが、その秘密は風前の灯だ。なぜなら、互いに愛人からは離婚を迫られており、もう断崖絶壁の状態にあるのだ。夫婦は二人とも離婚したいと心から願っている。はず。ところがところが! いざ離婚の決意を固めたある日、二人はふと欲望に駆られてしまう。なにがきっかけになるのかまったく不可思議だが、二人は久しぶりに互いの体を求めて燃え上がる。その日を境になぜか何度も性生活を復活させてしまう熟年夫婦、マイケルとメアリだった。
 というコメディは摩訶不思議な離婚寸前の熟年夫婦の心理を描いて、観客を笑わせたり考えさせたりする。この夫婦の心の機微はわたしにはまったく理解も共感もできないのだが、確かにそのようなブレを見せるのが腐れ縁の夫婦かもしれないと思わせる巧みな脚本ではある。しかし、いい大人である息子が両親の不倫を知って取り乱したり泣いたりするのがまったく解せない。いろいろ理解不能なのであるが、それでも最後まで「この夫婦は別れるのか、どうするのか」と観客をハラハラさせて最後まで引っ張る面白さはある。ラストシーンがいっそうわたしにとっては驚愕であったが、そういう終わり方もあるのかと、納得できないながらも笑ってしまった。
 ところで、63歳のデブラ・ウィンガーの恋人が13歳年下のナイス・ミドル、エイダン・ギレンというのがうらやましすぎる。かっこよくて優しそうな作家という設定の恋人なんて、いったいどこで出会ったの? そりゃもう、腹の出た夫よりもこっちがいいにきまっているでしょう!
 いろいろ思うところはあるなれど、面白い心理劇の大人の物語でした。若者にはわからないよね、こんな話。還暦のおばさんにも理解不能でした(笑)。脚本がうまい。(レンタルDVD)

THE LOVERS

97分、アメリカ、2017
監督・脚本:アザゼル・ジェイコブス
出演:デブラ・ウインガー 、 トレイシー・レッツ 、 エイダン・ギレン 、 メローラ・ウォルターズ