サタジット・レイの「大地のうた」三部作を一ヶ月以上前に長男Y太郎(19歳)と一緒に見た。歌って踊らないインド映画、モノクロで実に地味地味。Yいわく、「インド式リアリズム映画やな。下手なロッセリーニみたいや」。
ドストエフスキー「貧しき人々」のインド版といった風情の作品。登場人物はほとんど素人が演じているのではないか。歩くミイラのような老婆の風貌がすさまじい。これがもし特殊メイクならすごすぎる。
物語は淡々とひたすら貧しい一家の生活を追う。1920年ごろのインドの寒村の生活ぶりが珍しく、そういう点では目を引くが、とにかくゆったりとしたテンポで進む話はなんの山場もなく、すっかり爆睡。モノクロの画面もやたら白光りしていてよろしくない。特に森を映す場面では全体が白っぽく光がとんでしまっているので、陰影が感じられない。元のフィルムが相当痛んでいるのだろう、音も悪い。というわけで、第1話は寝ているうちに終わってしまった。(以下、第2部「大河のうた」に続く)
PATHER PANCHALI
125分、インド、1955
監督・脚本: サタジット・レイ、原作: ビブーティ・ブーション・バナージ、撮影: スプラタ・ミットラ、音楽: ラヴィ・シャンカール
出演: サビル・バナルジー、カヌ・バナルジー、コルナ・バナルジー、チェニバラ・デビ