吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~

 この映画のことは劇場の予告編上映で知った➡テレビドラマ版があったことを思い出す➡流行語大賞になったとかいう社会現象があったなあ➡そういうことならしょうがないから単発ドラマをAmazonプライムビデオで見る➡面白いやんかああああ➡テレビ版連続ドラマをAmazonプライムでついつい見てしまう➡めっちゃ面白いやんかああああ➡これは映画版をぜひ劇場で見なあかんな!←いまここf:id:ginyu:20191231212808p:plain
 というわけで、行きましたよ、もうそろそろ上映終了となる間際になってやっと。なんと、ほぼ満席! しかもほとんどおばさん。わたしの隣席の中年女性二人組は中盤以降のクライマックスから最後まで感涙しまくってずっと鼻をすすりながら泣いておられました、はい。
 テレビ版では、主人公が男同士の恋愛に戸惑い、偏見を払拭できずに悩んでいるところがよかったのだが、劇場版になるとその迷いがなくなってしまって、ふつうの恋愛と変わらない感じがしているのがちょっとつまらない。
 でもまあ、役者陣が芸達者なので楽しめる。ドタバタコメディでこんなに真面目に面白い演技をする人たちも珍しいかもしれない(笑)。 
 歳の差婚も同性愛も境界を超える愛があるっていうのは素晴らしいと思える。時代はここまで来たか、という感慨がある。
 そして本作は労働現場を描く労働映画でもある。主人公たちの職場は天空不動産の営業所。主人公春田創一を「はるたん」と呼んで恋する切ない男は彼の上司である黒澤武蔵部長。この部長が理想の上司として表彰状の二、三枚は上げてほしいくらいのいい男。「ちょっと今から仕事やめてくる」(2017年)ではとんでもないパワハラ上司を演じていたから、その落差がさすがは役者と思わせる。現実にはこんな理想の上司はそうそういないだろう。あくまでも夢を見させてくれる映画である。
2019
 114分
日本

監督:瑠東東一郎
脚本:徳尾浩司
音楽:河野伸
出演:田中圭林遣都志尊淳、沢村一樹吉田鋼太郎内田理央金子大地、伊藤修子児嶋一哉眞島秀和大塚寧々