吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

エルヴィスとニクソン ~写真に隠された真実~

 ニクソン大統領って映画にしやすい題材なのだろうか。これまでも何本も映画やテレビドラマが作られている。で、今回のこの映画、劇場未公開? そうでしょそうでしょ。
 ロックの帝王エルヴィス・プレスリーが1970年にニクソン大統領に面会を求めて直接ホワイトハウスにやって来て、門番に大統領への手紙を手渡した。ホワイトハウス内は大騒ぎとなり、大統領補佐官などの側近がニクソンに「キングがやってきた」と興奮して語ったところ、「どこのキングだ? 謁見の予定はないぞ」と返された。そうよそうよ、大統領よりキングのほうが高位なのだ。偉いのはニクソンよりもエルヴィスである。
 当初面会を渋っていたニクソンだが、結果的に面会は実現したというだけの映画。主役がまったくエルヴィスに似ていないのはわざとやってるのか? エルヴィス本人に対する冒涜とちゃうのん。いちおう似せているつもか? 
 ニクソンのほうはさすがにケビン・スペイシーが絶妙の演技を見せているのが面白い。ニクソンもエルヴィスも単なるおバカにしか見えないところがこのコメディの人を喰ったところだ。大真面目に二人とも自分の願望や欲望や野望や正義や道徳心を語っているのだが、ことごとくジョークにしか見えない。
 で、ホワイトハウスで撮影された有名なツーショット写真はWikipediaにも載っていて、アメリ国立公文書館が所蔵しているこの写真は大人気で、複写依頼が最多の資料だそうな。
 あ、そうだ。そもそもエルヴィスはなんのためにニクソンに会いに行ったんだったけ。麻薬撲滅のための秘密捜査官に任命してほしかったんだな、そしてバッジが欲しかったわけ。潜入捜査官になりかったというエルヴィス、あんたはお子ちゃまか。忍者ごっこしてるいい歳をした男子って感じですね。笑うしかない。
 笑える場面なんかほんとんどないのにそこはかとなく可笑しい映画なので、エルヴィスファンにはお薦め。エルヴィスの友人役のアレックス・ペティファーが美形なので彼の顔を見ているだけで幸せだったわたし。。。。はう(Amazonプライムビデオ) 
2016
ELVIS & NIXON
アメリ
監督:ライザ・ジョンソン
音楽:
エド・シェアマー
出演:
マイケル・シャノンケヴィン・スペイシーアレックス・ペティファージョニー・ノックスヴィルコリン・ハンクス