これは各方面から批判を浴びるのは当然といえる書だ。ただし、現代文明の状況や政治情勢についてはなかなか勉強になった。
ハンチントンは現状を変革しようとか、何かの理想に向かおうとかいう気は全然ないみたい。現状分析についてはなかなか読ませるものがあって、それなりにおもしろかったけど。
が、最後の世界戦争シミュレーションにはぞっとしたね。
ハンチントンは20世紀にイスラム教徒が暴力的にふるまったと語っている、その原因を以下のように記述する。
「なぜイスラム教徒は、他の文明圏の人びとよりも集団間の紛争に巻き込まれることが多いのだろう?」
第1に、イスラム教徒と非イスラム教徒が物理的にすぐ近くに住むことになった。
第2にイスラム教は、キリスト教以上に神の絶対至上権を唱える。
最も大きな理由は、イスラム社会には核となる国がないこと。
(以上、401-403ページ)
また、ハンチントンによれば、人口比の差異が戦争を生むという。若年人口の増加率がたかいほど、その国(文明)は好戦的になるというのがハンチントン説だ。
ハンチントンは文明の差異ばかり強調する。それでは異文明・異文化は永遠に理解し合えないという結論しか生まれない。彼の説を演繹すれば戦争は不可避という結論しか生まれない。
それにしても、世界八大文明のうち、日本文明が独自の文明としてカウントされているのには驚いた。一国一文明の栄誉に預かったのは、日本とインドぐらいか。あ、中国もだけど、大きさが違いすぎる。