吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

13時間 ベンガジの秘密の兵士

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 劇場未公開だけれど、大迫力の戦闘映画。2012年9月11日に起きたリビアのアメリカ領事館襲撃事件の13時間に迫る。知った顔の役者がいなくて、戦闘の場所やら組織が二つあってその上、「敵」というのが何なのかわからず、リビアの親米民兵もいるからいったい誰が敵なのか味方なのかよくわからず、そういうわかりにくさからか、劇場公開が見送られたのは。それに少々長すぎる。
 実話をほぼそのまま再現しているということだが、ぼろくそに描かれたCIAの「チーフ」本人が見たら怒るだろうなぁ。警護担当の武官6人(彼らの身分がよくわからない)が危険を顧みずに大使を救出に向かうという、アメリカ人が大好きなヒーローものだ。この6人は退役軍人らしいが、CIAの職員なのかどうかが不明。たぶん、違うんだろう。保安要員という描かれ方で、チーフから見下されている。屈強な男子である6人には家族がいて、可愛い娘たちが画面にも登場する。遠く離れた家族との会話はタブレットを使って。そんな、家族思いの一面を見せた後で、いきなりの銃撃戦。大変な迫力で、領事館に火をつけられた大使の恐怖も手に取るように伝わる。 
 これはアメリカ側からみた襲撃事件の顛末であり、襲撃したイスラム教徒たちの立場から作ったら、全然違うものが見えてくるだろう。最後に、たくさんの遺体が転がる風景が俯瞰で映る。嘆き悲しむイスラムの女性たちの姿に胸が痛んだ。この当時はカダフィ政権が倒されて間もなくで、ちょうどこのころから内戦が活発になり、リビアはいくつもの政治勢力が混在し争うことになる。いまではISが跋扈して、内戦が激化している。町の露店でふつうに武器が売られているような国では、もう平和とか安全とか正義とか言っていられるような状況ではない。大根のように砲弾を振り回す売人の姿はブラックジョークとしか思えない。(UNEXT)

13 HOURS: THE SECRET SOLDIERS OF BENGHAZI
144分、アメリカ、2016
監督:マイケル・ベイ、製作:アーウィン・ストフ,マイケル・ベイ、原作:ミッチェル・ズーコフ、脚本:チャック・ホーガン、撮影:ディオン・ビーブ、音楽:ローン・バルフェ
出演:ジョン・クラシンスキー、ジェームズ・バッジ・デールパブロ・シュレイバー、デヴィッド・デンマン