吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

囚われた国家

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 この作品を見てまず思い出したのは1980年代に日本でも放送されたアメリカのテレビドラマ「V」だ。エイリアンに占領された地球では、征服者に迎合する人間と抵抗する人々との闘いが描かれていた。して、本作もかなりそのテイストに近い。ただし、物語全体がとにかく暗く、映像も暗く、陰鬱な展開だ。しかもエイリアンの造形が意味不明で、怖いのか怖くないのかよくわからない。ただし、細部の小道具が実にレトロで、痺れた。近未来のはずなのに、この旧世代感はどうよ。機械がいちいちアナログなのが個人的には好みである。

 宇宙人に征服された地球では、既に抵抗することを諦めた各国政府が、エイリアンたちを地下深くに住まわせ、言うがままになっている。しかし、その状態を潔しとしない抵抗勢力の人々は知恵を絞ってエイリアンを放逐する方策を練っていた。一方、アメリカ警察当局の人間であるマリガン(ジョン・グッドマン)は抵抗勢力を弾圧することに躍起となっていた。追う者と追われる者との激しい争闘が始まる……。

 最後の最後にどんでん返しがあるのが見どころ。そういうことだったのかあ。そして、この陰謀の壮大な企みが分かったとき、何とも言えない悲壮感が漂う。なかなかダークなサスペンスであった。これはSF世界の物語だが、現実を反映していると思わざるを得ない場面がいくつもあり、近未来の恐ろしい監視社会が実現しないことを祈るばかりだ。(Amazonプライムビデオ)

2019
CAPTIVE STATE
アメリカ  Color  109分
監督:ルパート・ワイアット
製作:デヴィッド・クロケットルパート・ワイアット
脚本:エリカ・ビーニー、ルパート・ワイアット
撮影:アレックス・ディセンホフ
音楽:ロブ・シモンセン
出演:ジョン・グッドマン、アシュトン・サンダーズ、ジョナサン・メジャース、コルソン・ベイカー、ヴェラ・ファーミガ