恋の始まりから終わりまでの5年間を丁寧に、かつテンポよく描いていく青春物語。見ていて恥ずかしくなるような場面も多いが、なかなか小気味よかった。「500日のサマー」にも似ている。
別れた二人が偶然再会してしまう冒頭、二人の出会いの時の5年前に時計は戻る。最後は再び現在に戻り、気まずい再会の後に黙ってまた別れていく。ただそれだけのことだ。ここには難病も戦争も出生の秘密もなにもない。ごく普通のカップルがごく普通に出会って意気投合し、ごく普通に暮らしていてなんでもないことにつまずいていく。あまりのあきりたりに呆れるほどなのだ。リアルと言えばリアルすぎるし、偶然にしては出来過ぎている設定。リアリティと作り物の絶妙の淡いが心地良いドラマだ。しかも主演二人に若さがあふれ、愛らしさに好感が持てるため、観客も感情移入しやすい。
二人がお互いに好きな小説のことを語り始めるマシンガントークの場面がとても微笑ましく、読書好きな二人は最高にイカしている。こんな若者ばかりだと出版不況も起きないのにねぇ。(レンタルBlu-ray)
2020
日本 Color 124分
監督:土井裕泰
脚本:坂元裕二
撮影:鎌苅洋一
音楽:大友良英
出演:有村架純、菅田将暉、清原果耶、細田佳央太、オダギリジョー、戸田恵子、岩松了、小林薫、韓英恵、押井守