そういえば、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』はまったく面白くなかった。なんでこれが世界的ヒット作? わたしには理解不能。だから彼の伝記には全然興味がなかったはず。なのになぜこのDVDを借りたのは意味不明だ。だから、やっぱり見終わっても「へ?」って感じ。だからどうしたんでしょ。変人作家が人気絶頂の時に隠遁生活に入って二度と作品を出版しなかった、っていう結末。なんでそんなに変人だったのかはよくわからないけれど、おそらく第二次世界大戦でのDデイ作戦従軍のトラウマが生涯彼を苦しめたのだろうことは想像に難くない。映画でもそのような解釈に基づいているように思える。
だがそれにしても妻も子どもも一切無視して誰も近づけずにひたすら書きまくり、しかもその原稿を決して出版しないというのはどういうことだろう。究極のわがまま人間、究極の自意識肥大人間。だから、今でも未公刊原稿が大量にあって、今後遺族が出版の意向を示しているという。
やはり実在の人物の伝記映画は難しい。これといって何があるわけでもなく、確かに一つずつのエピソードはそれなりに見せる部分はあるのだが、映画作品としての魅力に欠ける。残念なり。