若くして大ヒット作を書き、アカデミー賞も受賞した脚本家が、その後15年も鳴かず飛ばずでついに田舎大学の脚本コースの教師になる、というお話。くたびれたやる気のない中年大学教員をヒュー・グラントがまさに適役!って感じで楽しく演じている。
主人公キースは赴任するなり、大学に出校する前日には既に女子学生をお持ち帰り。んで、「教師っていいなぁ」とつぶやいているスケベな中年。受講生は顔で選び、開講するなり1か月休講。赴任したばかりの懇親会で同僚女性教師にからんでセクハラ認定を受けるなど、とかくやる気のなさが顔面からにじみ出る。
ところが、いやいや始めた講義でついつい熱っぽく脚本について語ってしまい、どういうわけか才能ある学生もいて、教師としての楽しさに目覚めてしまうキースであった。しかし、学生との情事が査問にかけられることになり。。。。
というコメディ。脚本がいい。社会人学生を演じたマリサ・トメイが明るく前向きないい味を出しているので、大人の鑑賞に堪える楽しい話に出来上がっている。ヒュー・グラントも単なるやる気のない助べえかと思ったが、案外いい男であることがわかったし。それに半端ない教養の持ち主であることも魅力的だ。J・k・シモンズの学科長も涙もろくていい親爺さん。こういう、心底の悪役が出てこない映画というのは気持ちがいい。
人生のやり直しと言うのは決して栄光の日々よ再び、というアグレッシブな事象ばかりではない。本作が意外にアンチハリウッド的だったのもよかった。バックステージものとしてもチラリとハリウッドの脚本システムが見え隠れする部分に興味津々。とりわけ21世紀になって以来の、「強い女を登場させろ」というスタジオ側の圧力に抵抗するあたりが笑えた。フェミストへの意趣返しも興味深く、ハリウッドのミソジニーが垣間見えて個人的には大変楽しめた一作。(レンタルDVD)
THE REWRITE
107分、アメリカ、2014
監督・脚本:マーク・ローレンス、製作:マーティン・シェイファー、リズ・グロッツァー、音楽:クライド・ローレンス
出演:ヒュー・グラント、マリサ・トメイ、ベラ・ヒースコート、J・K・シモンズ、クリス・エリオット、アリソン・ジャネイ