吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ラブ・アゲイン

いま注目の若手ナンバー1俳優、ライアン・ゴズリング特集その2。

 妻から突然離婚を言い渡されて傷心の中年男が、バーで出会ったイケメンのプレイボーイ青年の手ほどきで変身に成功、次々と新しい恋に挑戦するが…、というコメディ。冴えない中年キャル役がスティーヴ・カレルでプレイボーイのジェイコブ役がライアン・ゴズリングっていうのがいかにも。今回はライアン君の裸が拝めます。これがすごいんです!

 巻頭の「テーブルの下の脚」は「上手い!」と思わせる場面。ここで観客はぐっと引き込まれる。
そして始まるダメ中年男の改造計画、なかなか笑えて面白い。ジェイコブはなんでいつもバーにいるんだ? お金はどうしてるの、仕事は? と、謎の金持ち青年ぶりが魅惑的。次々美女をお持ち帰りする手腕もすごい。一方、冴えないキャルが見かけだけでもかっこよくなっていくけど、やっぱりジェイコブのかっこよさにはかなり差をつけられている。


 これ、悪くはないんだけど、いろいろ納得できない点がある映画。そもそもキャルの妻がなんで浮気したことを告白しただけで「離婚して」となるのか不思議。浮気相手と再婚するつもりでもなさそうなのに、「浮気しちゃったから離婚して」というのはクリスチャンゆえの発想なのだろうか。
 
 強引な展開も不思議な人間関係も、「それがしたかったからなのか!」と笑って驚く場面あり。なかなか楽しめるコメディだった。ライアン・ゴズリングがあんなにいい男だったなんて、瞠目です。すごくいい身体しています。細かいところはツッコミを入れながらも、納得できない点も笑い飛ばしてすべて許せるそんな力のあるコメディ。脚本がいい。中高年の悩めるラブもいいけど、少年の初恋ものも同時進行する複眼的な展開は、全方位恋物語ふうで、さまざまな恋愛オムニバス映画を彷彿とさせる作り。細かな描写にも手抜きがなくて笑える。中年にも若者にも面白く見られるのじゃないでしょうか。(レンタルDVD)

CRAZY, STUPID, LOVE.
118分、アメリカ、2011
監督: グレン・フィカーラジョン・レクア、製作:スティーヴ・カレルデニーズ・ディ・ノヴィ、製作総指揮:デヴィッド・A・シーゲルほか、脚本:ダン・フォーゲルマン、音楽:クリストフ・ベック、ニック・ウラタ
出演: スティーヴ・カレルライアン・ゴズリングジュリアン・ムーアエマ・ストーンジョン・キャロル・リンチマリサ・トメイケヴィン・ベーコン