吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

エージェント・マロリー

 なんといっても豪華な出演者の顔ぶれを見よ! 主役がほぼ無名の女優だけに、脇がこれだけ派手だと客も呼べます。女子総合格闘技のチャンピオン、ジーナ・カラーノがヒロインで、彼女は強いだけではなく美しい容姿でなかなかに魅せます。アクションはもちろん本物で、すべて彼女が自分で演じているし、ふつうの女優には演じられないようなハイレベルの技も見せるし、狭い場所で壁を使って反動を付けて蹴りを入れる技なんて、普通は一撃で死ぬでしょ、という怖いもの。とにかく出てくる男たちがみな彼女に殴られ蹴られ、めちゃくちゃにされるというのが素晴らしい。最初はチャニング・テイタム。きゃー、チャニング登場よっと喜んでいたのもつかの間、あっという間にジーナ・カラーノになぎ直される。
 物語はジーナ・カラーノが演じる民間のフリー・スパイ、マロリーが、自分を嵌めた男たちに復讐していく、という割と単純なもの。しかし、時間軸をやたらいじりまくったストーリー展開になっているので、話が必要以上にややこしくなっている。そこが面白い見せ方でもあるわけで、誰が誰をだましていたのかが最後までわからないというミステリー仕立てもなかなかによろしい。
 わたしとしては、マイケル・ファスベンダーが意外に弱くて、マロリーにコテンパンにやられてしまうのがつらかった。あと、アントニオ・バンデラスの場面をもう少し見せてもよかったかも。わたしとしてはシリーズ化されるのを楽しみにしているのだが、これっきりなのかしら。まあ、これほど豪華な脇役を使ってしまったら、次がしんどいわな。(U-NEXT)

HAYWIRE
93分、アメリカ、2011
監督:スティーヴン・ソダーバーグ、製作:グレゴリー・ジェイコブズ、脚本:レム・ドブス、音楽:デヴィッド・ホームズ
出演:ジーナ・カラーノマイケル・ファスベンダーユアン・マクレガービル・パクストンチャニング・テイタムマチュー・カソヴィッツ、マイケル・アンガラノ、アントニオ・バンデラスマイケル・ダグラス