吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

ザ・ダンサー

 19世紀末のアメリカで女優を目指していたロイ・フラーが、やっと手に入れた役はセリフもなく舞台で踊るだけ。しかし、その時とっさに衣装を波打たせて踊った踊りが異様な喝采を受け、ダンスに目覚める。その後知り合ったフランス人貴族の援助を得て母の故郷フランスへと渡ったロイは、独特のダンスで注目を浴びるようになる。
 という、実在のダンサーの話。ロイ・フラーモダン・ダンスの祖と言われているらしい。彼女の踊りは両手に棒を持って振り回し、裾の長い衣装を波打たせて七色の照明を当てる幻想的なもの。ものすごく体力を使い、腕に大きな負担を与える無理なものだった。舞台を一つ演じ終わったら倒れこんでしまい、自力では立っていることもできないぐらいだ。さらに強烈なライトによって目も傷める。体を痛めつけて寿命を縮めながら踊るようなものだった。だがその美しいイリュージョンダンスは今見てもほんとうに素晴らしい。今ならいくらでもCGで作れるような光の乱舞だが、当時は生身の人間が演じるしかなかった。
 喝采を浴びれば浴びるほど彼女のダンスを真似する者も出てくる。さまざまなプロモーション上の苦労を重ねながら、ダンサーとしての才能だけではなく、プロデューサーとしての才能も発揮するロイ・フラーだった。そこに彗星のように登場するのがイサドラ・ダンカンロイ・フラーに才能を見出されるが、結果的にはロイを食い物にし、利用してのし上がっていく。
 後半はこの二人の魅力と魔力が衝突していくのが見ものだ。イサドラ・ダンカン役のリリー=ローズ・デップの妖艶で小悪魔的な魅力が見どころであるが、ダンスじたいはそれほどうまいとは思えない。
 イサドラといい、色男のルイ・ドルセー伯爵(ギャスパー・ウリエル、最高!)といい、退廃的な魅力をたっぷり見せてくれて心地よい。意外な拾い物的な良作だった。(レンタルDVD) 
LA DANSEUSE
108分
フランス/ベルギー、2016

監督:ステファニー・ディ・ジュースト
製作:アラン・アタル
原作:ジョヴァンニ・リスタ
脚本:ステファニー・ディ・ジュースト、サラ・チボー
共同脚本:トマ・ビデガン
出演:ソコ、ギャスパー・ウリエルメラニー・ティエリー、リリー=ローズ・デップ、フランソワ・ダミアン