ちょっと話がややこしすぎるのではないか? 年寄りの頭ではついていけないほど裏切ったり裏切られたりの逆転劇が激しすぎる。途中で頭が混乱したのと、実習疲れにより、後半三分の一は爆睡。やむなく翌日もういちど見直してやっと理解できた。
公開順は「007 スペクター」のほうが後だが、作品を見た順番が逆なので、カーチェイスはどっちがいいかな、とかどっちが真似したんだろうとかあれこれ考えながら見ていた。製作者が思いつくことはほとんど同じなので、同じようなお話になってしまうのだな。007ではMI6が解散に追い込まれていたように、ミッションインポッシブルでもIMFがCIAに吸収合併されることになってしまった。組織の改廃が世の常、というのか現実世界を反映しているのか。
ROGUE NATION て、ならず者国家という意味だったんだ。まあ国家なんていうのは本質的にならず者なんだよ。国民国家には他国への配慮はない。この映画の場合、ならず者は米英両国を指す。スパイを使い捨てにして、「お前には祖国はない」と突き放す、ひどい仕打ちを平気で行うのが「権力の走狗」なのである。「わたしを祖国に帰して」と懇願する美しきスパイ・イルサの瞳が切なかった。この映画で誰よりも魅力的で誰よりもかっこいいのが英国のスパイ・イルサだ。演じたレベッカ・ファーガソンの上品な美しさと高い身体能力は特筆に値する。
007のカーチェイスもよかったが、こちらのバイク・チェイスのほうがスリル度が高い。こういう場面はやはり映画館で見たかったのに、残念である。ほとんどすべてのアクションシーンをトム・クルーズがスタントなしで演じているというのはびっくり仰天である。
「レッド・オクトーバーを追え」のCIAアナリストで一躍脚光を浴びたアレック・ボールドウィンがCIA長官に出世していたのが個人的には受けた。すっかり中年のおじさんになって貫禄たっぷりなんだけど、かつての美男子ぶりが懐かしい。
007と違ってチームワークのよさやそれぞれの個性が生きているMIのほうが面白い作品ができると思うのだが、いかがだろう。これはこれでスパイものの双璧としてどちらも面白いシリーズをこれからも見せてほしいもの。(レンタルDVD)
MISSION: IMPOSSIBLE ROGUE NATION
131分、アメリカ、2015
監督・脚本: クリストファー・マッカリー、製作: トム・クルーズ、J・J・エイブラムスほか、原作: ブルース・ゲラー、音楽: ジョー・クレイマー
出演: トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴィング・レイムス、ショーン・ハリス、アレック・ボールドウィン