吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

完全なる報復

 わたしがDVDを見ていたら、通りがかったS次郎(高校3年)がつい引き込まれて眠さも忘れて最後まで見てしまった、面白いサスペンス。暴力描写もハンパじゃないから当然にもR15。

 妻子を殺されて復讐に手を染める男。と言う話ならいくらでもあったように思うが、この男は残虐なだけではなくて異様に頭がいいから見ていてワクワクしてくる。次はどんな手でくるのか? 復讐の醍醐味を見せるだけではなく、司法制度の欠陥を突く構成になっているから、観客の正義感もが問われてくる。

 ジェラルド・バトラーが怖い。彼が演じる男は、復讐の矛先を犯人だけではなく、司法取引をして犯人を軽罪にしてしまった検事にも向ける。そして、司法取引のあり方を逆手にとって法の隙を突く。何よりもすごいのは、ジェラルド・バトラーが刑務所(拘置所じゃないのか?)に投獄されながら着々と復讐を果たす、という点だ。用意周到な罠とあっと驚く仕掛け、冷酷な殺人マシン。こんな男に復讐される犯人が可愛そうになってくるぐらいだ。追い詰められていく検察・警察はいかにして男の魔の手を逃れるのか? 

 あまりにもすさまじい暴発ぶりにこのまま突っ走ってしまえとさえ思えてくるほど。ラストが納得いかないのだけど…。(レンタルDVD)

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LAW ABIDING CITIZEN
108分、アメリカ,2009
監督:F・ゲイリー・グレイ、製作:ルーカス・フォスター、ジェラルド・バトラー、製作総指揮:ニール・サッカーほか、脚本:カート・ウィマー、音楽:ブライアン・タイラー
出演:ジェイミー・フォックス,ジェラルド・バトラー,レスリー・ビブ,ブルース・マッギル