期待したほどの出来ではなかったのでレビューは書かないつもりでいたが、まだ上映しているし、無視するには惜しい作品なので、少しだけ感想を。
映像は素晴らしいのだが、ストーリーにひねりがなさ過ぎる。人類が滅亡した後の世界という、どこかで見た光景、どこかで見たお話、どこかで見た…既視感ばかりで新鮮さがない。
ストップモーションアニメかと思ったけれど、完全なCGだそうだ。ここまでできるようになったのか! ティム・バートンのテイストがあちこちに見られるが、オリジナルは学生が卒業制作用に作った11分の短編アニメ。それを見たバートンが惚れ込んで長編に作り直し、くだんの学生シェーン・アッカーに監督させたもの。確かに造形は魅力的だし、荒廃した未来社会のダークさもゾクゾクする。
しかし、やはりあまりにも既視感がありすぎる。襲いかかる機械のビーストは「スターシップ・トゥルーパーズ」だし、設定はそのまんま「ウォーリー」だし、機械と人間の戦争なんて「マトリックス」じゃあるまいし。
悪くはないけど、ドンパチドンパチと派手なアクションシーンが連続する映画を続けてみると食傷気味となる。もう少しストーリーの凡庸さをなんとかしてほしかったね。逆に言えば、こういう映画を自宅のテレビモニターなんかで見た日には魅力半減以下。ストーリーで引っ張ることができない分、映画館の大画面と音響で映像を堪能して欲しい。麻袋のような人形たちのキャラクターデザインが秀逸。ちょっと気持ち悪いという気がしないでもないが、アニメファンならぜひ劇場で見ましょう。
9
80分、アメリカ、2009
監督: シェーン・アッカー、製作: ティム・バートン、脚本: パメラ・ペトラー、音楽: デボラ・ルーリー、テーマ曲: ダニー・エルフマン
声の出演: イライジャ・ウッド、ジェニファー・コネリー、クリストファー・プラマー、ジョン・C・ライリー