吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY

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 "The Voice"とまで呼ばれた不世出の歌手の伝記映画。「ボヘミアンラプソディー」の脚本家が書いた脚本はしかし、あまり山と谷の組み合わせがはっきりせず、どこに山場を持っていってるつもりなのかがいまいち伝わりにくい。

 さすがにホイットニーの声を再現できる役者はいないから、主演女優は口パクで音源はすべて本人のものだ。だから、ホイットニーの歌をたっぷり堪能出来てとても満足。ストーリーや人物描写の深みは物足りなくても、歌が素晴らしいので144分がまったく長く感じない。それに、口パクとはいえ、ナオミ・アッキーはかなり好演しており、熱唱ぶりが伝わってくる。

 人物像については当事者がまだ生存しているからだろうから、あまりつっこんだ描写がしづらかったのかもしれない。同性愛の恋人だったロビンとの確執がいったいどうなったのかよくわからないし、大喧嘩したのになぜ仲直りできたのかも謎。ケビン・コスナーは「ボディーガード」の映像でちらっと登場するが、マイケル・ジャクソンとかジャネット・ジャクソンは名前が呼ばれるだけで本人の姿はチラリとも登場しないのは残念だ。

 ボディーガードといえば、うちのY太郎が大学1年のとき、ホイットニーの公演の警備のアルバイト(派遣だったかも)をしたことを思い出す。黒い背広を着てホイットニーの「ボディーガード」を務めたのである。まあ大したことはしてないだろうけど、ホイットニーの歌声を間近で聞けて感動していた。高音部はほとんど声が出ていなかったけれど、それでも抜群に上手かったという。彼女はそれから2年後には亡くなったわけで、惜しい才能を48歳で失ってしまった。映画では言及されていなかったが、一人娘もその2年後に母親と同じくドラッグによって亡くなってしまうのだから、本当に悲しい。

 2022
I WANNA DANCE WITH SOMEBODY
アメリカ  Color  144分
監督:ケイシー・レモンズ
製作:デニス・オサリヴァンほか
脚本:アンソニー・マクカーテン
撮影:バリー・アクロイド
音楽:チャンダ・ダンシー
出演:ナオミ・アッキー、スタンリー・トゥッチ、アシュトン・サンダーズ、タマラ・チュニー、ナフェッサ・ウィリアムズ、クラーク・ピータース