吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

フォンターナ広場 イタリアの陰謀

1969年の爆弾テロ事件、フレームアップの真相を探る意欲作。 あまりにややこしくてわかりにくいからだろう、本編が始まる前に日本語で解説文が流れる。さらに、本編が始まってからも人物に説明の字幕が付く。なかなか苦肉のサービス作である。にもかかわらず…

キャプテン・フィリップス

この映画は一回目に劇場で見たとき、不覚にも爆睡してしまった。緊張感にあふれた素晴しいできばえの作品だと感動していたというのに、途中で寝てしまったのだ。気がついたら船長が救出されていたので、「えらく展開が速いなぁ」と驚いたもので。アホです。…

バーダー・マインホフ 理想の果てに

バーダーとマインホフは西ドイツ赤軍(RAF)の幹部の名前。「赤軍派」はバーダー・マインホフグループからの改称であり、グループの名称はアンドレアス・バーダーとウルリケ・マインホフの二人の名前から取られている。日本ならさしずめ森恒夫と永田洋子か。…

愛おしき隣人

2012年のベスト作品でレビュー積み残しをさらえていくシリーズ第5弾。 息子Y太郎と二人でDVD鑑賞。 子「なんやこの映画、この間合いはカウリスマキみたいやな」 母「カウリスマキより面白いやんか」 子「ふーむ、なんかなぁ…」 母「ふーむ、シュールやなぁ…

魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A’s

2012年のベスト作品でレビュー積み残しをさらえていくシリーズ第4弾。 本作はベスト10圏外の番外作品。なんでこれが番外ながらベスト作品入りかというと、前代未聞(当社比)の上映会だったから。 1年以上前に @itonotaisuke https://twitter.com/itonot…

Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち

2012年のベスト作品でレビュー積み残しをさらえていくシリーズ第3弾。 これは素晴らしい。 天才振付師ピナ・バウシュのドキュメンタリー映画を撮影している途中で本人が急死したために暗礁に乗り上げたという作品。なので完成した作品にピナ本人はほとんど登…

カラヴァッジョ 天才画家の光と影

2012年のベスト作品でレビュー積み残しをさらえていくシリーズ第2弾。 いや~、堪能しました、完全版、たっぷり200分。この大河ぶりはやはりこの長尺でないと楽しめません。評判どおり、美術と映像が素晴らしいのはもちろん、音楽も甘美でよい。でも、それ…

ぼくたちのムッシュ・ラザール

2012年のベスト作品でレビュー積み残しをさらえていくシリーズ第1弾。 よくこの尺でここまで説得力のある作品を作ったものだと感心する。無駄が一切ない、しかも間違いなく観客を惹き付ける豊かな語りがある。無駄がないのは、原作が戯曲だからだろうか。 カ…

鑑定士と顔のない依頼人

事前情報なしで見に行くほうがいい作品。広場恐怖症の女性と、人を近づけない孤高の鑑定士との手に汗握る恋愛はスリリング。見終わった後に誰かと謎解きを語り合いたくなる映画だ。 舞台はイギリスかと思ったが、ヨーロッパのどことも知れぬ町。引退を間近に…

ゼロ・グラビティ

去年見た映画のなかでもっとも映画らしい体験ができた作品。「2001年宇宙の旅」のような深遠な哲学的隠喩はないけれど、ストレートに伝わるメッセージが心地よい。 宇宙空間でシャトルの修理作業に勤しむライアン・ストーン(サンドラ・ブロック)とマッ…

おじいちゃんの里帰り

ドイツのトルコ移民の映画には暗いものしかないと思っていたが、これは違う。トルコ移民50年の一家の物語が軽快にユーモラスに語られる。彼らは故郷をもち、故郷に帰りたいという気持ちを抱いているが、実はもう故郷へは帰れないということに気づいてしまう…

ペコロスの母に会いに行く

梅田ガーデンシネマで「ブランカニエベス」は残念ながら爆睡してしまったが、続いてみたのはこれ、認知症の母と息子の物語。こちらは他人事と思えず画面に食い入るように見ていたので、まったく眠気を催さなかった。 認知症の母を介護するバツイチ男とその息…

ヒトラーの審判 アイヒマン、最期の告白

「ハンナ・アーレント」つながりで劇場未公開の本作を紹介。 ドキュメンタリーだとばっかり思い込んでいたが、ドラマであった。見始めると意外と面白いのでつい引き込まれた。娯楽作だけあって、アイヒマンと愛人たちとのからみが何度も登場する。全裸の美女…

ハンナ・アーレント

「ローザ・ルクセンブルク」でバルバラ・スコヴァを見て以来、あっという間に26年が経っていたことに気づいたのは、彼女の姿を一目見た瞬間のこと。「うわ、おばさんになってる」 わたしは26年前に見たはずの「ローザ・ルクセンブルク」よりも、本作により深…

ルートヴィヒ

かのヴィスコンティの胃もたれ映画「ルートヴィヒ 神々の黄昏」を再現しようとするなんて。かつて、重厚感という言葉でごまかせないほど鬱陶しく重苦しい、長い長い三時間を拷問のように耐えたことを思い出しながら、しかしよく考えたらあの映画も後半はほと…

2013年のマイ・ベスト

謹賀新年。 とうとう2013年はブログを更新できませんでした。あまりにも忙しすぎて、ブログを書く時間も心の余裕もなかったのが原因。それと、Facebookでの交流のほうに力点が移ったので、日常雑記その他はFacebookに書いているため、ブログがおろそかになっ…