吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

スノーピアサー

f:id:ginyu:20180227221809p:plain

 鉄道ファン大喜びのアクションSF映画。電車から一歩も出ることなくアクション映画が成立するんだから面白い。 
 これ以上ありえないぐらいの格差社会が列車内に展開されるという寓話が面白い。元来、一等車二等車などという格差は本国では明治時代からあり、その格差については内田百閒先生が『阿房列車』で面白おかしく書いているのを読んでもよくわかるが、この映画ではその状態をあまりにもわかりやすく目を見張る映像で提示したことが秀逸。
 なにしろ、最後尾はほとんど「浮浪者」状態の人々がびっしりと列車の中に押し込められており、配給される食べ物(なんじゃこら?という板こんにゃくみたいなもの)をほとんど「餌」状態で頬張る姿が活写される。しかし、前の車両へ進めば進むほど、そこはパラダイス! なんで列車のなかで奥様たちの美容室があるん! なんで列車のなかでお金持ちのためのプール(ジャグジー?)があるん! とまあ、なかなかに面白いプロダクションデザインが堪能できます。

 2031年地球温暖化対策が行き過ぎて、地球は急速に寒冷化し、ほとんどの地域が氷に閉ざされた。食料はなくなり、人類の大多数が死に絶え、残ったのは「スノーピアサー」と呼ばれる列車に乗り込んだ1000人だけ。
列車の中で生活する乗客たちだけが人類のすべてとなっていた。その列車は永久機関のエンジンを積み、1度も止まることなく1年で地球を1周する。苛烈な格差社会である列車の中では、最後尾に乗るカーティスが虐待に抗して立ち上がり、反乱軍を率いて前方車両へと侵攻していく。前方には何があるのか? この列車の支配者ウィルフォード氏とは何者なのか。
 格差社会の最底辺からの武装蜂起という革命路線の単純な躍動感といい、ビジュアルの面白さといい、ティルダ・スウィントンの笑うしかない不細工女ぶりといい、とっても楽しい娯楽作。現実世界の表象のような風刺が随所に盛り込まれ、日本が嘲笑される場面のうまさもさすがポン・ジュノ。原作がコミックだけあって笑える場面も多くて大げさな演出ぶりなど、なかなかよろしい。(レンタルDVD)

SNOWPIERCER
125分、韓国/アメリカ/フランス、2013
監督:ポン・ジュノ、製作:パク・チャヌク、イ・テフン、原作:ジャン=マルク・ロシェット、ジャック・ロブ、脚本:ポン・ジュノ、ケリー・マスターソン、音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:クリス・エヴァンスソン・ガンホティルダ・スウィントンジェイミー・ベルオクタヴィア・スペンサー、アリソン・ピル、エド・ハリス