吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

フォードvsフェラーリ

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 車には全く興味がないのに、なぜかこの映画には惹かれていた。劇場で見損ねたため、Blu-rayで鑑賞。

 で、1960年代にアメリカ車のフォードとイタリア車のフェラーリが争ったという実話がハリウッド映画になる以上は、アメ車が勝ったに違いないのだ。タイトルを見ただけで勝敗はわかっている。そのうえ実話なんだから、事実は動かしようがない。しかしその分かりきっている結果に向かっていかに演出するかがこの映画のみどころ。そういう点でいえば、クリスチャン・ベイルの相変わらずの、演技の神様が下りてきましたみたいななりきりぶりがこの映画を面白く見せている。

 しかしなんといっても最高に観客を興奮させるのはル・マン耐久24時間レースの再現シーンだ。この場面のカメラの動き、小気味よい切り返し、感情を爆発させるケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)の表情など、手に汗握る。

 ところで、ケン・マイルズの妻がえらく品のあるきれいな人だなあと思っていたら、カトリーナ・バルフだった。とてもじゃないが、田舎の町工場の妻には見えない! でもそう見えるようにすごく地味に化粧しているのが大変好ましい。

 この映画は悪役があまりにもはっきりとわかりやすいため、本当に実話なのかと疑いの目を持ってしまった。実在の人物をあからさまに悪く描写して本人や遺族からクレームがこないのだろうか。それとも彼は架空の人物なのだろうか。(レンタルBlu-ray) 

2019
FORD V FERRARI
アメリカ Color 153分
監督:ジェームズ・マンゴールド
製作:ピーター・チャーニン
ジェンノ・トッピング
ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワース、ジェイソン・ケラー
撮影:フェドン・パパマイケル
音楽:マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース
出演:マット・デイモンクリスチャン・ベイルジョン・バーンサルカトリーナ・バルフ、トレイシー・レッツ、レモ・ジローネ