吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

エンドレス・ポエトリー

 f:id:ginyu:20180409231847p:plain

「リアリティのダンス」の続編。奇妙奇天烈ぶりが相変わらず炸裂している。開巻シーンを見た瞬間に「来た来た来た来たっ」と心の中で叫びましたよ、わたくし。前作から3年。変わったことといえば、アレハンドロ・ホドロフスキーの少年時代を演じた役者の背がずいぶん伸びたこと。もう少年とは言い難いほど大きくなった。
 で、相変わらず爆笑シーンの数々、お下劣シーンの数々、不思議なシーンの数々でございます。いきなり歌舞伎の舞台みたいに黒子が登場する演出とか、隈取り化粧とか、さすがは製作陣に日本人が入ったためなのか、すっかり歌舞伎調になってしまっている。ホドロフスキー自身が「マジック・リアリティ」と呼ぶ演出とプロダクションデザインによって、サイケデリックな夢の世界のような映画が出来上がった。
 役者は前作とほぼ同じで一家総出演。ホドロフスキーの父親役をホドロフスキーの長男が演じ、青年時代のホドロフスキーを五男が演じている。前作に続いてホドロフスキーの父親は厳しい家長であり暴力的に家族を支配している。美少年のホドロフスキーは青年に成長し、美しい姉妹と出会って詩人になることを決意する。2リットルのビールを一気飲みする怪物女とねんごろになり、前衛芸術家気取りの親友と無軌道な詩人ぶりを発揮する。
 「ネルーダのような」というセリフが何度も登場する。ちょうどこの映画を見る前に「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者」を見たばかりだったから、「なんだか今日はネルーダづいている日だなぁ」と思うと同時に、この世代のチリ人にとってネルーダは特別の存在なのかもしれないと認識を新たにした。
 前作同様に奇妙な人ばかりが登場し、青年ホドロフスキーの生きるエネルギーが爆発している。とても90歳近い監督が作った映画とは思えない。性的な描写も直截的で、ほとんどギャグだ。全裸の人間が何人登場したことか。まあとにかく一遍見たら忘れられない映画ですよ、これ。でもわたしは途中で寝てしまったのであった。というのも、前作ではチリの政治・歴史が語られていて興味深かったのだが、今作では青春の爆発やら恋愛がテーマとなり、個人的な趣味に合わない。
 この終わり方なら、まだ続編ができそうだ。え? 五部作の予定なんですか? 付き合いきれんかも(;^_^A

POESIA SIN FIN
128分、フランス/チリ/日本、2016
監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー、製作:アレハンドロ・ホドロフスキーほか、音楽:アダン・ホドロフスキー
出演:アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキーレアンドロ・タウブ、アレハンドロ・ホドロフスキー、イェレミアス・ハースコヴィッツ