吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

ローマに消えた男

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 独特の雰囲気を持った不思議な映画。
 てっきりコメディかと思ったら意外にシリアスで、さらにはミステリアスな味付けもある、というお話。なんだか最後はキツネにつままれたような気分がした。
 野党の政治家が、スランプに陥って失踪してしまう。困った秘書は一計を巡らせ、彼の双子の兄を替え玉に仕立て上げるのだ。政治なんか関係ないはずの哲学者の兄はどういうわけか嬉々として演説を始め、すっかり聴衆の人気をさらってしまう。この人がちょっとねじの緩んだ哲学者、というところがミソなんだろうな。政治家よりも哲学者のほうが物事の本質をとらえているという皮肉か。

 25年前に別れた恋人のところに逃げ込む政治家、というのもなんだかおもしろい。しかも彼女はフランスに住んでいて、夫と子どもが居るんだよ。それでもにっこり微笑んで彼を家に泊め、仕事まで世話をするんだ。この恋人がヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。中年の落ち着いた雰囲気を漂わせて、大変好演している。
 本音でズバズバ面白いことをいう哲学者が政治家として成り上がっていく様子は日本やアメリカのポピュリズムを見るようで少々寒くなるような状況なんだが、そこもこの映画の政治風刺という点がよくできているといえよう。こんな映画、絶対に日本では作れないね。
 最後は本当に不思議な終わり方。これ、どういうことでしょう。観客も誰もが騙されている?(レンタルDVD)

(2013)
VIVA LA LIBERTA
94分
イタリア/フランス
監督:ロベルト・アンドー
製作:アンジェロ・バルバガッロ
脚本:ロベルト・アンドー、アンジェロ・パスクィーニ
撮影:マウリツィオ・カルヴェージ
音楽:マルコ・ベッタ
出演:トニ・セルヴィッロ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ミケーラ・チェスコン、アンナ・ボナイウート