かっこよすぎるぜ、爺さんたち!
役者たちがこれまで演じてきた映画への数々のオマージュ盛り込まれている。過去の役柄をそのままうまく活用・援用した設定になっていて、そういう点ではこの一作だけで楽しむというより、彼らが出演した映画丸ごとで楽しむようなつくりかた。
所詮はギャングのお話なので、どんなにいきがってもヤクザな男たちの犯罪にしかすぎないんだけど、でも面白い。団塊世代が老人になって、やっぱり団塊だけあって人口は異様に多くて、だからこんなに元気な爺さんたちの話が最近とても多い。病気ネタ、勃起不能ネタ、昔の腕を懐かしむネタ、全部あるある、の世界。
映画はアル・パチーノ演じるヴァルことヴァレンタインが出所する場面から始まる。出所したヴァルを迎えたのは唯一の友ドク(クリストファー・ウォーケン)だ。ヴァルが刑務所にいる間に世の中はすっかり変わってしまった。だが、変わらずヴァルの命を狙っていた男がいた。それは、かつてのボスだ。ボスの命令によって明朝までにヴァルを殺せと指令されていたドクだが、親友を殺すのは忍びない。二人にとって運命の夜がやってくる…。
親友を殺せと命じられたドク。自分の命が狙われていることを知っているヴァル。二人の究極の選択はどう転ぶのか。そして、三人目の爺さんハーシュ(アラン・アーキン)を誘って三人は久しぶりに夜の街を爆走する。この爽快感! 最近この手の「頑張る爺さん」の話が多いねぇ。やっぱり団塊世代は元気です。ハーシュの娘役で登場するERの看護師がTVドラマ「ER」の婦長役ジュリアナ・マルグリーズというのもいかしてる。
ラストはほんとうにスカッとした。久しぶりにすっきりする映画を見たよ、快哉。
ダイナーのウェイトレス、アレックスを演じたアディソン・ティムリンが愛らしくやさしい顔立ちの美女で、見ているだけで心が和やかになる。(レンタルDVD)
STAND UP GUYS
95分、アメリカ、2012
監督: フィッシャー・スティーヴンス、製作: シドニー・キンメル ほか、脚本: ノア・ヘイドル、音楽: ライル・ワークマン
出演: アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキン、ジュリアナ・マルグリーズ、アディソン・ティムリン