メル・ギブソンの久しぶりの主演作は、娘を殺された刑事が復讐のために企業犯罪と闘うという警察アクションもの。期待した割には普通の映画。普通に面白いけど捻りもなく。
男手一つで娘を育てた堅物刑事クレイブンが、可愛くてたまらない頭脳優秀な娘を目の前で殺される。犯人は「クレイブン!」と叫んで銃を撃ったため、刑事を狙った犯行だが誤って娘が殺されたのだと警察は睨む。しかし身に覚えのないクレイブンが自ら捜査を進めるうちに、娘の周りの怪しい人々が浮かびあがり、やがては娘が勤務していた巨大軍需産業の企業犯罪が明らかになる。
という、割とよくある企業犯罪もの。そしてもちろんこの企業は軍部とグルになった政商である。ここに正体不明のもみ消し屋ジェドバーグという中年男がからんで、話が意外な方向へと転がりそうになる。問題はこのジェドバーグという男のこと。一見凄味があるようなのだが、キャラが不可解なため、非常に重要な役にもかかわらず、最後まで腑に落ちないことがいろいろと起きる。そのうえ、犯罪に手を染める企業(の幹部)というのが迫力不足。
退屈はしない映画だけれど、もう一歩いろいろと食い足りない。タイトルが今時珍しい漢字5文字の古臭さが昭和任侠道みたいでいいと思うが、内容も結構古めかしい。
<以下、ネタばれのつぶやき>
放射線障害の描き方はあれでいいのだろうか? ガイガーカウンターで反応が出るあたりの表現も杜撰だ。放射性物質と放射線を混同した素人的ミスではなかろうか。ただし、核物質によって放射性障害が起きるという話は「時宜」に適っていて、怖い。
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EDGE OF DARKNESS
116分、イギリス/アメリカ、2010
監督:マーティン・キャンベル、製作:グレアム・キング、脚本:ウィリアム・モナハン、アンドリュー・ボーヴェル、オリジナル脚本:トロイ・ケネディ・マーティン(TVシリーズ「刑事ロニー・クレイブン」)、音楽:ハワード・ショア
出演:メル・ギブソン、レイ・ウィンストン、ダニー・ヒューストン、ボヤナ・ノヴァコヴィッチ、ショーン・ロバーツ