十数年ぶりで再鑑賞。初めて見たときもビデオだったが、今回も自宅でDVD。
初めて見たときは、「映画史に残る長回し」と言われている巻頭8分のワンカットに全然気づかなかった。その当時、わたしは映画の技術的な面にはほとんど関心がなく、カメラアングルにもそれほど敏感でなかったから、これが8分間のワンカットであることに気づかなかったのだ。今見直してみて、このシーンをワンカットで撮らないといけない必然性はまったく感じない。だからこそ、かつて長回しに気づかなかったのかもしれない。けれど、見終わった後のなんともいえない皮肉な爽快感がたまらなく好きで、これはお気に入りの一作だった。
巻頭の長回しに関していえば、カメラは室内から室外へと出て行き、登場人物も入れ替わり立ち替わり代わるから、撮影はかなり入念な打ち合わせが必要で、大変だったと思う。そういう点では、計算の行き届いたシーンだと感嘆するけれど、なんで長回しなのかやっぱりよくわからない。そのシーンの間には、オーソン・ウェルズの「黒い罠」の長回しが素晴らしいだのヒチコックの「ロープ」は全編ワンカットだのといった話題がオンパレードで出てくる。そうか、これは自己言及映画なんだね。このシーンでまず観客への宣言が入るわけです、これは過去の作品へのオマージュであり、映画製作そのものへの皮肉を込めた、映画システムへの自己言及ものであると。
主人がハリウッド大手製作会社のプロデューサーで、スターたちがきら星のごとくカメオ出演しまくるから、映画ファンにはたまらない作品。ハリウッドシステムへの批判的眼差しもアルトマンの自虐ネタなのかはたまた鬱憤晴らしなのか、強烈に皮肉が効いていて面白い。本作のラストシーンこそは、とにかくハッピーエンドにしないと気が済まないハリウッドのプロデューサーたちへの強烈なパンチ。これはいったいハッピーエンドなのか違うのか? 観客をニヤリとさせる宙づりの終わり方は憎いねぇ。
随所に挿入される窓越しのシーンはサスペンスの雰囲気を盛り上げるのにぴったりだ。観客自身も覗きのスリルを味わえる。(レンタルDVD)
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THE PLAYER
アメリカ、1992年、上映時間 124分
監督: ロバート・アルトマン、製作: デヴィッド・ブラウンほか、脚本: マイケル・トルキン、音楽: トーマス・ニューマン
出演: ティム・ロビンス、グレタ・スカッキ、フレッド・ウォード、ウーピー・ゴールドバーグ、ピーター・ギャラガー、ブライオン・ジェームズ、シドニー・ポラック
カメオ出演: ジュリア・ロバーツ、ブルース・ウィリス、バート・レイノルズ、アンジェリカ・ヒューストン、ジョン・キューザック、ジャック・レモン、アンディ・マクダウェル、シェール、ピーター・フォーク、スーザン・サランドン、ジル・セント・ジョン、
リリー・トムリン、ジョン・アンダーソン、ミミ・ロジャース、ジョエル・グレイ、ハリー・ベラフォンテ、ゲイリー・ビューシイ、ジェームズ・コバーン、ルイーズ・フレッチャー、スコット・グレン、ジェフ・ゴールドブラム、エリオット・グールド、サリー・カークランド、マーリー・マトリン、マルコム・マクダウェル、ニック・ノルティ、ロッド・スタイガー、パトリック・スウェイジ