吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

クワイエット・プレイス

f:id:ginyu:20181103010042p:plain

声を出してはいけないという映画内のお約束のために、ずいぶん静かな映画なのだが、どっこい劇伴の音楽がものすごく怖くて、全然クワイエットじゃない!
 しかしまあ、あまりの緊張に見ているほうも息を詰めてしまうような映画だった。この映画が90分以内に収まっていることを神に感謝しましたよ。これが150分ぐらいあったらもう耐えきれません。 
 時は2020年、隕石が落下するのと同時に「何か」が地球にやってきた。その日から3か月ほどで人類は滅亡の危機に瀕していた。その「何か」は音に反応して人間を殺すのだ。音を立てたら即死! という状況下でも生き延びた人々はいた。それが主人公一家である。音を立てないために裸足で歩き、道路には砂を撒いて足音がしないように工夫する。食器は使わず葉っぱを食器代わりに料理を置いて食べる。一家の一番上の娘が聴覚障害者なので、一家全員が手話を使えるというのがこの家族の強みだったようだ。
 それにしてもくしゃみも咳もせずに生きるなんて絶対無理なのにどうやって音を立てずに生きてきたんでしょうか、この人たちは。それでもまあなんとか工夫を凝らして、田舎の農家であることが幸いして食べ物には困らないようだ。たまには住民が居なくなった廃墟の町に出かけてスーパーで薬を調達したりする。
 しかしそんな一家に最大の難関が訪れる日は近い。主婦であるリーが出産の日を迎えるのだ。どうやって声を出さずにお産するんだろう? 赤ん坊の産声はどうするつもり? 生まれた後はずっと泣き続けるに違いない赤ん坊をどうやって育てるのか。
 この一家の創意工夫ぶりが素晴らしくて、「そう来たか」という頭の良さが大変光っている。もちろんご都合主義も垣間見られるがそこは多少は目をつぶることにしよう。一難去ってまた一難というサスペンスの連続に緊張は途切れない。ただし、興ざめの点もあって、それは「何か」の正体をわりと早くに見せてしまうこと。これが面白くない。
 この物語のテーマは家族愛だ。お互いを思いやり、支えあって生きていこうとする家族の強い愛情を描いている。サバイバルも結局はお互いを守ろうとする強い意志と技術力がものを言うのである。主人公一家の夫と妻を実際の夫婦であるジョン・クラシンスキーとエミリー・ブラントが演じている。クラシンスキーは監督も務めていて、夫婦共働きの低予算映画ながら非常に面白い。
 さて最後はどうやってこのエイリアンを退治しましょうかね。ラストシーンは胸がすくよ、素晴らしい! 母は強し!! 続編ができるそうです。これも楽しみ。

A QUIET PLACE
90分、アメリカ、2018
監督:ジョン・クラシンスキー、製作:マイケル・ベイほか、脚本:ブライアン・ウッズ、スコット・ベック、ジョン・クラシンスキー、撮影:シャルロッテ・ブルース・クリステンセン、音楽:マルコ・ベルトラミ

出演:エミリー・ブラント、ジョン・クラシンスキー、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュープ