吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

顔のないスパイ 

 劇場用パンフレットを作成していないって? 配給会社はやる気あるの。確かに全然宣伝していなかったし、予告編も観た覚えがない。でも、出来はそんなにひどくない。

 ロシアの二重スパイがアメリカ社会に深く潜入している、なんていうお話は「ソルト」でも描かれていたので、二番煎じの感を否めない。そのうえ、「ソルト」に比べてアクションも地味、役者も地味、仕掛けが地味、すべて地味。だからといって退屈はしない。やっぱり二重スパイものは面白いのだ。
 今回、二重スパイはリチャード・ギア。彼が冷酷な殺人機械に見えないところが味噌なのかもしれない。CIA捜査官とFBI捜査官が協力してロシアのスパイを追うというストーリーだ。年齢の違う二人が組んで、追う相手はロシアのスパイ、カシウス。カシウスに狂信的ともいえるほどの入れ込み方をしている若い捜査官はFBIのベン。20年前に死んだはずのカシウスが新たな殺人を犯したことから物語は始まる。

 物語は二転三転し、最後はあっと驚く真実が明かされるのだが、そこにいたる伏線が緩い。すべての展開が説明抜きであり、説得力に欠けるし、辻褄があっているのかどうか不明な点が多い。そうであっても、やはり謎解きのお話は最後までスリリングだ。この真相に気づくかどうかで面白く見られるかどうかが分かれる。

 最後は家族への愛がすべての出来事の裏にあったと明かされ、切ない。

 調べ物のプロのような捜査官に対して「図書館司書になれ」という台詞があるのには思わずニヤリ。そうです。プロのサーチャーは図書館司書。アメリカの司書は社会的地位が高く、プロ意識も高いから、評価も高い。日本の司書もこんな風に言われるようにならなくちゃね。

THE DOUBLE
98分、アメリカ、2011
監督: マイケル・ブラント、製作: アショク・アムリトラジほか、脚本: マイケル・ブラント、デレク・ハース、音楽: ジョン・デブニー
出演: リチャード・ギアトファー・グレイス、スティーヴン・モイヤー、オデット・ユーストマンマーティン・シーン