吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ドント・ルック・アップ

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 大笑いしながら見た。近年まれにみるあほらしいドタバタコメディ。でも役者が豪華な分、いろいろと見せ場があって、最後はすごくシリアス。ラストの長い長いエンドクレジットが終わってからボーナスカットがある。これも笑える。

 物語は、地球に彗星が衝突するという人類滅亡もの。この手の話は珍しくないから、既視感のある場面がたくさん登場するのだが、そういった過去作の数々も総動員しながら笑える。ことの発端は天文学を研究する大学院生(ジェニファー・ローレンス)が彗星を発見したこと。彼女の指導教員(レオさまですよ)はちゃちゃっと軌道を計算した瞬間に息を飲んでしまう。この場面も真面目な話のはずなのに笑える。そう、計算の結果は、6か月後に彗星が地球に衝突するというもの。あれまあ、どうしよう。大統領に知らせなくては! マスコミ発表しなくては! でも誰もまともに二人の話を聞いてくれない。アホ大統領(メリル・ストリープ、楽しそう)は彗星の衝突よりも中間選挙の行方のほうが気になる。巨大企業は彗星が希少金属の塊であることに目を付けてこれを独占しようとする。

 どうやら、地球人類が絶滅するというあまりにも絶望的な情報の前には「そんなものはなかったことにしたい」という情報処理偏向が働くのだろう。マスコミのあほニュースキャスターたちもおふざけでこのニュースを笑い飛ばし、深刻になっているのは彗星発見者の院生ケイトと指導教員ミンディ博士だけ。せっかく核物質を積んだロケットを発射して惑星にぶつけて軌道修正させようとしたのに、レアアース回収のためにそれも中止してしまう。

 いろいろと悪だくみと私利私欲しか考えていない人間ばかりが集まって、人類は破滅への道を一直線~! なかなか楽しかった。(Netflix

2021
DON'T LOOK UP
アメリカ  Color  145分
監督:アダム・マッケイ
製作:アダム・マッケイ、ケヴィン・J・メシック
脚本:アダム・マッケイ
撮影:リヌス・サンドグレン
音楽:ニコラス・ブリテル
出演:レオナルド・ディカプリオジェニファー・ローレンスメリル・ストリープケイト・ブランシェット、ロブ・モーガンジョナ・ヒルマーク・ライランスティモテ・シャラメ、アリアナ・グランデ