話がえらく大きくなってきたのでびっくり。原作ファンのS子さんが、ミカエルとその上司たる人妻編集長は20年来の不倫の仲で、人妻の夫ぐるみのつきあいだと言っていた。そのへんがスウェーデンらしいさばけ方だとか。第1話ではそういう話は出てこなかったが、今回、ミカエルと編集長とのベッドシーンあり。しかし、中高年の全裸はやめてほしいなぁ〜。「カメラさん、寄って寄って。ああっと、だめだめ、それ以上寄ったら観客が引く」てな感じか。
第1話は硬派雑誌『ミレニアム』のベテラン記者ミカエルが主人公だったが、本作では若き天才ハッカー、リスベットが主役となる。彼女のキャラの異様さといい、その強さといい、実に映画的に面白い。映像記憶力の天才であり、ハッキングの天才であり、全身タトゥーの入ったパンクロッカー風のいでたち、おまけに小柄なのに腕力も強くてレズビアン友達もいて…とくれば、映画史上かつてなかったヒロイン像である。そしてそのヒロインを演じるノオミ・ラパスがまた強烈な個性を発揮する女優である。暗い瞳の奥に陰鬱な過去を秘め、強固な意志を感じさせる面立ちは、美人女優路線とは一味もふた味も違う凄みがある。
スウェーデンといえば高度福祉社会を実現した社会民主主義のお手本のように喧伝されるが、この映画を見る限り、その実態はかなり暗い。闇組織の売春や国際犯罪、麻薬密売、女性への暴力、といった病理が巣くう。
第1話とは脚本・監督ともに交代したため、雰囲気が若干違っている。前作のほうがインパクトが強かった。これは第3作へとつなぐ中間の話である点も、若干弱みとなっているだろう。また、天才ハッカーとかいいながらその手腕がどうすごいのか全然わからないところにも不満が残る。
今回明らかになったリスベットの過去が物語の謎を牽引して観客の興味をそそる。謎の大男が登場したりして、エンタメ度もアップしたが、その分通俗的になってきたうらみはある。そしてミカエルとのからみがほとんどなかったのも残念であった。来週はいよいよ第3作を見なくては!
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FLICKAN SOM LEKTE MED ELDEN
130分、スウェーデン/デンマーク/ドイツ、2009
監督: ダニエル・アルフレッドソン、製作: ソーレン・スタルモス、原作: スティーグ・ラーソン、脚本: ヨナス・フリュクベリ、音楽: ヤコブ・グロート
出演: ミカエル・ニクヴィスト、ノオミ・ラパス、アニカ・ハリン、ペール・オスカルソン、レナ・エンドレ、ペーター・アンデション、ミカエル・スプレイツ、テイラ・ブラッド