吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

郵便配達は二度ベルを鳴らす

 公開当時、ジャック・ニコスソンとジェシカ・ラングの台所でのセックスシーンが話題になった作品。しかしこの場面の演出には大いなる疑義が残る。18歳未満の方が読んでいるかもしれないので詳細は省くが、あれはちょっと、リアリティがなさ過ぎる。特に、ジェシカ・ラングの下着に……(以下、映倫カット)。
 この映画は官能とサスペンスに満ちたものになるはずだったんだろうけど、作品全体に緊張感が欠けていて、とりわけ後半数十分がだらだらと意味のない場面とセリフの繰り返しになるのがいただけない。

 そもそも、ジェシカ・ラング扮する若妻がなんでいかにも怪しげなジャック・ニコルソンに惹かれるのかがまったく理解できないために、二人の情事後の展開すべてが絵空事に思えて、その上、夫殺しという大犯罪をやってのけた割には緊迫感のない二人に白けてしまう。
 唯一、法廷場面は大変興味深かった。弁護士も検察側の証人も、真実なんてどうでもよくて、欲得でしか動かない。とんでもない取引が行われるその場面は思わず引き込まれてしまった。この作品、結局誰が悪者なのかさっぱりわからない。こういうあたりは痛烈な皮肉になっていてよかった。
 要するに、かわいそうなのは殺された亭主で、だけど殺したジェシカ・ラングとジャック・ニコスソンが主役なんだから、観客は彼らに感情移入してしまいがち。でもいまいち魅力のない二人なので、それもままならず。わたしは最後までとうとう誰にも感情移入できずに、違和感だけが残ってしまった。お互い、殺人を犯してでも一緒になりたいと思うほどの相手だったのか、説得力に欠けるのだ。
 犯罪者にも五分の魂、といったところか。最後は、諸行無常の響きあり。でもなぁ。(レンタルDVD)

The postman always rings twice

製作年:1981

上映時間 :125分

製作国 :アメリカ合衆国

監督: ボブ・ラフェルソン

製作: チャールズ・マルヴェヒルほか

原作: ジェームズ・M・ケイン 

脚本: デヴィッド・マメット 

音楽: マイケル・スモール

出演: ジャック・ニコルソンジェシカ・ラング、ジョン・コリコス、マイケル・ラーナーアンジェリカ・ヒューストンクリストファー・ロイドブライオン・ジェームズ