先月末に見た作品。映画よりも観客の反応のほうが面白かった。いつもなら一人で見に来る地味なインテリぽい人種が幅をきかすミニシアターの最前列に、なぜか「業界人」と思しき団体客が。彼らはいちいち映画の場面に反応して笑ったり拍手を送ったりするので、この違和感がいとをかし、であった。
映画はインタビューなし、ナレーションも文字解説もなし。ただひたすら淡々とショーやリハーサル、スタッフ会議を映していくだけ。残念ながらショーにそれほど魅力を感じなかったために、途中で退屈して寝てしまった。尻ばかりが映るとしまいには「もう、尻攻撃は止めてくれぇ〜」と心の中で叫ぶ。確かに最初のほうで映ったショーのライトは芸術的で美しく、はっと息を呑んだのだが、あれは肉体美というよりはライトの妙技である。わざわざ裸で踊る意味があるのだろうか。
クレイジーホースのオーディションでは、尻と脚の美しさが採用の基準となる。踊りや歌が少々下手でもいいのだ。オーディションを受けている若く美しい女たちの半分ぐらいはロシアや東欧出身ではなかろうか、そしてスペイン。意外だったのは、ダンサー達の胸が小さいこと。胸が小さいためにとても上品な感じを受ける。お尻も決して大きいとはいえず、ただし、綺麗にまあるいラインを描いているところはさすがだ。
身体をくねらせて踊るあのダンスなら、シルク・ドゥ・ソレイユのほうがわたしは好きだ。個人的好みでいえば、エロティックダンスよりもアクロバットのほうが面白いと思う。とはいえ、最後のほうに登場した尻山には笑った。これはなかなかのアイデアだ。
CRAZY HORSE
134分、フランス/アメリカ、2011
監督:フレデリック・ワイズマン