吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

TAP THE LAST SHOW

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 水谷豊は本作が監督デビューだそうな。それにしてはよくできている。タップダンサーは本物のダンサーを起用したらしいが、彼らにちゃんと演技をさせているところが偉い。少々大げさな演出もべたな部分も全然気にならなくて、すべてはラスト24分の圧巻のタップダンス・ショーのためにあるのだから、それを楽しみに待っていることができる。 
 かつて一世を風靡した天才タップダンサーの渡真二郎はキャリア絶頂期に事故で負傷し、引退してしまった。その後は振付師として働いてきたが、酒浸りの日々だ。そんな彼に活を入れて、「バブルのころは東京に2軒、大阪に3軒の店を持っていたこのトップスも、とうとう最後の一軒の店を閉めるんや。ラストショーをあんたの演出で飾ってくれへんか。最後にええ夢見ようや、二人で」と誘いに来たのは昔からの友人で劇場トップスのオーナー毛利。
 渋々振付を引き受けた渡はただちに厳しいオーディションを始め、さらに過酷な練習でダンサーたちを選び抜いていく。さまざまな家庭の事情を抱えた5人の若きダンサーたちを厳しく指導する渡が新しい演出の夢を語っていたころ、持病の心臓病が悪化して毛利社長が倒れてしまう。資金繰りに行き詰ったトップスはラストショーを諦めてしまうのか、起死回生の策はあるのか。
 ストーリーにひねりがないというか、社長が倒れてからどうやってショーを立て直すのかがよくわからない。ろくな説明もなしに「とにかく根性で立て直しました」みたいな安易な方向に流れていたのは気になるが、そんなことはどうでもよくて、とにかくダンスですよ、ダンス。
 これは映画館で見て良かったと心から思える作品だった。この迫力は劇場でないと味わえない。タップの驚異の迫力といい、その表現力の豊かさ、そして音楽の迫力とリズムのよさ、美しさに思わず見ているわたしも身体が動いてしまうほど。エンドロールが終わった瞬間にスタンディングオベーションしそうになった(しなかったけどね)。ほんと、拍手喝采ですよ。水谷豊がちょっとええかっこしすぎと思うけど、まあえっか。

133分、日本、2017
監督:水谷豊、製作:亀山慶二ほか、製作総指揮:早河洋、脚本:両沢和幸、振付:HIDEBOH、音楽:佐藤準
出演:水谷豊、北乃きい、清水夏生、西川大貴、HIDEBOH、前田美波里岸部一徳