吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

(500日)のサマー

DVDリリース間近のお奨め作品、「恋するベーカリー」に続いては、これ。


 マーク・ウェブはミュージックビデオの監督だっただけあって、スタイリッシュに弾けた作風である。一つの恋の始まりから終わりまで、出会いから別れまでの500日を描く。500日の中を何度も行き来しながらラブストーリーは二人の恋の行方を追う。


 「草食系」男子のジョセフを演じるのはトム・ハンセン。なるほどの配役です。ジョセフは、勤務先に新しく雇われたスタッフのサマーに一目惚れ。彼女こそが運命の恋人だと思いこむ。一方のサマーはクールにジョセフとつきあう。500日間、ジョセフはヒートアップしてサマーに惚れているけれど、サマーはそうでもなさそうである。夢見る青年ジョセフと現実的でクールなサマー。この二人の恋人達のどこにでもありそうな恋物語。一見、純情男が女の気ままに振り回されているように見えるが、実はサマーは常に正直者だ。「ぼくたちはいったい何なんだ? ぼくたちの関係は何?」とジョセフに詰め寄られて、サマーは「友達よ!」と答える。ジョセフにはそれが不満でならない。

 
 この物語を一組の恋人達の齟齬として捉えるだけではなく、広く人間一般のコミュニケーションの実例として見ても面白い。恋とは大いなる勘違いから始まる。その勘違いのまま突っ走れればいいけれど、いつか目が覚めたときに白々とした時間に満たされていると気づいたら、その空しさに耐えられるだろうか? 人と人との信頼関係も同じ。これを持続的に築き上げることがどれだけ大変なことか。さらには組織と組織もそう。そんなふうに大きなものへとつなげていけそうなお話でもある。


 どんなお話かよりもどんなふうに見せるか、というところにポイントがある映画なので、雰囲気を楽しみたい人にはぴったり。わたしは十分楽しみました。ラストシーンにも思わずにやり。


(500) DAYS OF SUMMER
96分、アメリカ、2009
監督: マーク・ウェブ、製作: マーク・ウォーターズ ほか、脚本: スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー、音楽: マイケル・ダナ、ロブ・シモンセン
出演: ジョセフ・ゴードン=レヴィットゾーイ・デシャネル、ジェフリー・エアンド、マシュー・グレイ・ガブラー