吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出

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 こんななんでもない話ですら日本では皇室物は映画にできそうもない。若かりしエリザベス王女が妹のマーガレット王女とともに戦勝祝いに沸くロンドンの町へお忍びで出かけた、というお話。

 1945年5月8日、ヨーロッパでは第二次世界大戦が終わった。国民とともに戦勝を祝いたいという19歳の王女は父王の許可を得てお忍びで夜の街へ出かける。ところがお忍びと言いながら大勢の護衛やお供が付いてくる上に訪問した先ではしっかり上流階級の人々が王女たちを待ち構えていてエレガントに挨拶を交わすという、お忍び感のまったくない状況にエリザベス王女はうんざりしてしまう。お転婆なマーガレットは護衛を振り切りバスに乗って町に繰り出してしまう。心配したエリザベスは「妹を一緒に見つけて」と通りすがりの空軍兵士に頼み込み、こうして王女たちの冒険が始まった。
 とまあ、「ローマの休日」みたいになるのかと思いきや、もちろんならない。史実を知っている人たちには何も意外性がないのだが、それでもわりと楽しく退屈もせず見ていられるのは、同じ姉妹でも王位継承者のエリザベスの慎重さと奔放なマーガレットのキャラクターの違いが描き分けられていて興味深いということと、このマーガレットを演じたベル・パウリーの不細工な可愛らしさがチャーミングな点が長所となって、なかなかにテンポもよろしい映画でございました。(U-NEXT)

A ROYAL NIGHT OUT
97分、イギリス、2015
監督:ジュリアン・ジャロルド、製作:ロバート・バーンスタイン、脚本:トレヴァー・デ・シルヴァ、ケヴィン・フッド、音楽:ポール・イングリッシュビー
出演:サラ・ガドン、ベル・パウリー、ジャック・レイナー、ルパート・エヴェレットエミリー・ワトソン、ロジャー・アラム