吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

海賊じいちゃんの贈りもの

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 これは楽しい! 子役の芸達者ぶりには舌を巻く。とりわけ末っ子の愛らしいことったら、食べてしまいたいくらいだ。子どもたちの自然な表情や会話は、脚本無しで演じさせた結果ではないか。かなり長時間カメラを回し続けてようやく入手した貴重な映像、という感じがする。

 北欧映画の雰囲気がするけれど、イギリス映画だった。風景が素晴らしく雄大で美しいのはスコットランドだから。ハイランド(高地地方)の美しさを映像で堪能できる。

 物語はロンドンにいる賑やかな一家の出立から始まる。いざ家を出ようとするのに鍵が見つからないとか、あれがないこれがないと大騒ぎ。幼い子どもたちは10歳の長女を筆頭に末っ子は4歳ぐらい?の3人きょうだい。両親は別居中で、父親の父親、つまり子どもたちのじいちゃんの誕生日祝いのために一家は車でスコットランドの田舎に向かうのである。道中も両親は何かと喧嘩が絶えないが、じいちゃんたちに自分たちの別居は内緒にするようにと口止めしている。この一家のドタバタぶりはとても親近感がある。うちもあんなだったなーと懐かしく思い出すわ。我が家はもっと賑やかでもっと大変だったけどね。
 TVドラマ「ブロードチャーチ」の主人公の刑事を演じたデヴィッド・テナントが父親役で登場。彼はコメディもいける。
 で、なんやかやでようやくスコットランドのじいちゃん家にたどり着いたら、カントリーハウス風の豪邸が建っている。口さがない子どもたちは、家の持ち主である伯父さん(父親の兄)に「どうやってこんな豪邸を建てたの。仕事は何。税金はどうしたの」とあけすけな質問を浴びせる。頭のよさそうな長女は手帳を手放さず、何かあるとすぐにメモを取る。なかなかよい子じゃ、そうそう、記録は大事なんですよ。
 で、おじいちゃんは実は癌を患っていて余命いくばくもないのだった。その割に超元気そうに見える、イケテルじいさんなんだけどね。子どもたちもおじいちゃんが大好き。じいちゃんは海賊(北欧のバイキング)の末裔だそうで、自分が死んだらバイキング式の葬儀をしてほしいと子どもたちに告げる。冗談半分のように言っていたおじいちゃんの言葉を真に受けた子どもたちが巻き起こす大事件は、、、、
 という楽しいお話。セリフはいちいち面白いし、人間観察力に優れたセリフだと感心する。末っ子のこまっしゃくれぶりが最高によい。

 アイリッシュ音楽もよかった。思わず踊りたくなる。大好きな映画であります。(U-NEXT)

WHAT WE DID ON OUR HOLIDAY
95分、イギリス、2014
監督・脚本:アンディ・ハミルトン、ガイ・ジェンキン、音楽:アレックス・ヘッフェス
出演:ロザムンド・パイクデヴィッド・テナント、ビリー・コノリー、ベン・ミラー、アメリア・ブルモア、エミリアジョーンズ、ボビー・スモールブリッジ、ハリエット・ターンブル