吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

エイリアン コヴェナント

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「プロメテウス」に比べると面白さは落ちるが、それでも十分面白いのがこのシリーズのよさだ。うちのS次郎(24歳)が「今まで見た映画の中で一番好き。完璧な映画」と絶賛するのが「プロメテウス」。して、その続編はいかに。
 結論から言うと、”期待通りに話が運び、思った通りに展開し、予測を裏切らないラストシーン”という、今や水戸黄門並みになってしまったシリーズの悲しさ。新鮮味はどこにもありません。「プロメテウス」と「エイリアン第1作」を足して二で割ったようなお話はどちらのファンにも不満を残すだろう。しかし、だからこそかえって面白いというもの。ファンは安心して怖がれるし、結末を予想しつつマンネリ作品を楽しめる。
 人類は猿から進化したのではありません。そんなこと、許せないよね、やっぱり創造主がいるに違いない。で、その創造主を訪ねる旅が「プロメテウス」だったわけで、次はその創造主に造反した者がいて、それがエイリアンを作っちゃったんですね、というお話。知恵の実を食べた創造物は創造主に歯向かうというのはキリスト教世界の摂理であり、このエイリアンもその轍を踏む物語だ。
 巻頭のシーンでアンドロイドのデイヴィッドが誕生する。彼を作った博士に「何か演奏してみろ」と言われて、デイヴィッドはワグナーの「ヴァルハラ城への行進」を弾く。なんでワグナーなのか、そしてなぜヴァルハラ城なのか。ここがわからないと面白味半減するからやっぱり教養って必要なんですね。本作はこのアンドロイドが主人公であり、二役を演じたマイケル・ファスベンダーが大変よろしい。同じ型のアンドロイドでありながら、旧式は感情を持ち創造力を持つ一方、新式はそのような余計なものを持ち合わせていない。ここが物語の結末を捻じ曲げていく大きな伏線であり、人間(アンドロイド)がいかに罪な存在か、パンドラの箱を開けたいという欲望が古今東西未来永劫不滅のものだということがわかる。
 かくして未来の破滅へ向かって宇宙船は出航する。

ALIEN: COVENANT
122分、アメリカ、2017
監督:リドリー・スコット、製作:リドリー・スコットほか、脚本:ジョン・ローガン、ダンテ・ハーパー、撮影:ダリウス・ウォルスキー、音楽:ジェド・カーゼル
出演:マイケル・ファスベンダーキャサリン・ウォーターストンビリー・クラダップ、ダニー・マクブライド、デミアン・ビチル、カーメン・イジョゴ、ジェームズ・フランコガイ・ピアース