吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ブラック・スワン

 もう2ヶ月以上前に見たので、細部はすっかり忘れているが…。
 この映画は期待したほどの作品ではなかったけれど、ナタリー・ポートマンのバレエがびっくりするほど上手かったのには感服した。
 

 ダーレン・アロノフスキー監督は、キリキリと登場人物を追い詰めるような作品ばかりを撮っているようだが(1997年のデビュー作「π」とかhttp://d.hatena.ne.jp/ginyu/20080323)、本作も、見ていてとても窮屈で、気持ちのいいものではない。鏡の多用といったわりとありふれた演出で主人公ニナの追い詰められた心理を表現している。ナタリー・ポートマンは線の細さがいかにも神経を病むバレリーナの雰囲気が出ていて適役だ。この映画の彼女はオードリー・ヘップバーンを髣髴させる。上品で、幼さが残る端正な顔立ち、色気が感じられない代わりに清楚感が漂う。
 

 物語は主役のプレッシャーに押しつぶされるニナの妄想と現実が入り混じって、ほとんどホラーのような怖さ。ラストの白鳥の湖の舞台シーンは圧巻。最後の最後にニナが解放される、その高揚感だけが救い。賛否両論は措くとして、これも一つの「母源病」映画。

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BLACK SWAN
108分、アメリカ、2010
監督: ダーレン・アロノフスキー、製作: マイク・メダヴォイほか、原案: アンドレス・ハインツ、
脚本: マーク・ヘイマン、アンドレス・ハインツ、ジョン・マクラフリン、撮影: マシュー・リバティーク、音楽: クリント・マンセル
出演: ナタリー・ポートマンヴァンサン・カッセルミラ・クニスバーバラ・ハーシーウィノナ・ライダー