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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

ダイバージェント NEO

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 大ヒット三部作の二作目。ふつう、三部作の二作目というのはもっとも脱力感が漂うのだけれど、本作に関してはますます力が入っている。

 人類最終戦争後の荒れ果てた世界の中で唯一生き残った人々がなぜかシカゴの廃墟跡に暮らしていて、それなりに大きなビルが残ってはいるけれど無残な姿も残している、というあたりが微妙にディストピア
 生き残った人々は過去の戦争を反省し、人をその性格によって「勇敢、無欲、高潔、平和、博学」という五つの適性に分けてそれぞれの共同体を形成させる、という制度を生み出した。しかしその均衡を破るクーデータが起きて・・・というのが第一部。
 たった一度の適正検査で生涯を決めてしまうという乱暴な世の中なのに誰も文句を言わないというのは、現実の社会を反映している。たった一度の入社試験で会社を振り分けられ、そこで後の人生のほとんどが決まってしまうという、日本の大卒一斉就職制度とよく似ているではないか。
 ヒロインのトリスは適性検査でダイバージェント(異端者)と診断され、本来ならば抹殺される運命だったのだが、検査員のお目こぼしで危機を逃れ、「勇敢」の共同体を選んだ。前作ではまだまだひ弱だった彼女が第二部ではその能力をいかんなく発揮して、素晴らしいアクションを見せてくれる。
 この作品は原作者が女性だからか、女が大活躍する。とりわけ、「ハンガーゲーム」のジェニファー・ローレンスと覇を競うシェイリーン・ウッドリー(個人的にはシェイリーンに凱歌)の熱血美少女ぶりが胸を打つ。主人公トリスがさまざまな適性をもったスーパーウーマンであることが徐々に判明してくる過程がなかなかスリリングかつ心地よい。
 悪役である「博学」の指導者がケイト・ウィンスレット演じる冷徹な美女。第一部で登場した時からツンツンしたおばさんオーラを全身から発していたが、第二部ではますます極まってきた。彼女に対抗するのが、濃いメイクで現れる下町の肝っ玉母さんナオミ・ワッツ。と、いずれも美しい女たちがそれぞれにリーダーだったり、その役目に成長していったり。世界は女性が権力を握っているように見える。
 第三部への橋渡しである本作は、人類がなぜこのような制度を編み出したのか、その謎に迫る重要なパートだ。最終章への期待も高まるアクション巨編をお楽しみに。(機関紙編集者クラブの「編集サービス」紙に書いたものの元原稿)。

 

INSURGENT
119分、アメリカ、2015 
監督: ロベルト・シュヴェンケ、製作: ダグラス・ウィックほか、脚本: ブライアン・ダッフィールド ほか、音楽: ジョセフ・トラパニーズ
出演: シェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、オクタヴィア・スペンサージェイ・コートニーレイ・スティーヴンソン、ゾーイ・クラヴィッツアシュレイ・ジャッドナオミ・ワッツケイト・ウィンスレット