吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

喝采

 落ちぶれた役者を見事カムバックさせるバックステージものシリーズ3連続アップ! の第3弾。
 
 「映画に見る心理学」とかいう本があれば(あったけど)格好の例を提供しそうな映画。共依存、虚言癖、トラウマなどなど、ぜひ心理学者に解説を書いて欲しい映画。誰か実際に書いてるんじゃないかな。

 落ちぶれた役者を妻と演出家が再生させるというストーリーじたいに目新しさはなく、ビング・クロスビーに覇気がなくて最初は退屈な映画だと思ったが、グレイス・ケリーが登場して暫くするとだんだん面白くなってきた。最初の登場場面ではグレース・ケリーとはわからなかったくらい疲れきってやつれた表情を見せていた彼女も、きちんと化粧してドレスアップした場面では輝くように美しく、ほれぼれと眺めいった。

 同じようなストーリーの「バンド・ワゴン」よりもこの「喝采」のほうが面白く見ることができた。ありきたりのストーリーをシリアスな心理劇として見せた脚本がなかなかにいい。3人の演技のからみもよかった。ただし、途中で突然のキスシーン、音楽もいきなり盛り上がる、この場面展開にはびっくり仰天。このとってつけたような場面だけはいただけない。

 音楽映画の割には音楽が全然印象に残らないし、劇中劇が古めかしくて笑ってしまう、といういくつかの瑕疵はあれども最後まで惹きつけられた。結末にはちょっとがっかりしたけどね。

 グレース・ケリーはこの作品で見事オスカー受賞、若さに似合わない熟達の演技を見せています。映画の中でグレースの年齢が何歳も違って見えるのはすごい。女優って化け物ですね、ほんと。(レンタルDVD)

THE COUNTRY GIRL
104分、アメリカ、1954
監督:ジョージ・シートン、製作:ウィリアム・パールバーグ、ジョージ・シートン、原作:クリフォード・オデッツ、脚本:ジョージ・シートン、音楽:ヴィクター・ヤング
出演:ビング・クロスビーグレイス・ケリーウィリアム・ホールデン、アンソニー・ロス