吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

フラメンコ・フラメンコ

 前作「フラメンコ」(1995年)を見ていないので、わたしにとっては初体験のフラメンコ映画。

 そもそもフラメンコについてはド素人で何の予習もなしに見たものだから、フラメンコが歌とセットであったことすら知らなかった。てっきりあの踊りとギターの伴奏だけと思い込んでいたのだ。
 なんでこの映画を見ようと思ったのかといえば、予告編で観た踊りが素晴らしかったのと、撮影監督がヴィットリオ・ストラーロだったから。
 映画の作りは単純。次々と歌や踊りや器楽演奏が披露されていく、音楽会形式。フラメンコを描いた絵画が並ぶスタジオで撮影される。場所が固定されているから、テレビ番組の「なんとかヒットスタジオ」にも似ている。要するに音楽映画なので、ストーリーがあるわけでもない。ただし、後でパンフレットを読んだら、いちおう人の一生を描く構成になっているらしい。全然気づかなかった…。 

 確かに前半は素晴らしかった。巻頭の歌の次に第2幕ではスペインで最も人気のある女性ダンサー、サラ・バラスがいかにもフラメンコ、という踊りを痩身から激しく繰り出す。メリハリのきいた身体のこなしが緊張感を生む。てっきり60歳くらいの女性が踊っているのかと思ったらまだ40歳である。そのほか、次々登場する女性ダンサーがみなえらく老けているので驚いた。中年太りしているとか皺だらけとか思って見ていたので全員わたしより絶対に年上だと思ったが違った。スペイン人は老けるのが早いのか?

 それはともかく、ギター演奏がいずれも素晴らしい。超絶技巧のテクニックにも驚くし、音色の美しさにも魅せられたし、最後にパコ・デ・ルシアが登場したときにはじーんと感激した。フラメンコピアノなるものも初めて聴いた。二台のピアノの掛け合いは、ジャズの即興演奏のような音楽を堪能できる。テクニックもメロディーもすばらしかった。こうなると気に入らないのは歌だけ、ということかな。こぶしを廻して地声で歌うあの歌は日本の民謡や演歌にも似ていて、わたしは好きになれない。

 前半は確かに素晴らしくて堪能できたのだけれど、単調な演出に飽きてきて、途中で爆睡。100分の映画でこれだけもたせるのはちと苦しいのではなかろうか。フラメンコのファンならばもちろん大喜びだろうが、そうでもない観客にはもう少し退屈させない工夫が必要かと思う。もっとも、フラメンコのことをよく知りもしないわたしが見に行ったのが間違いだったのかな、という反省も。

FLAMENCO, FLAMENCO
101分、スペイン、2010
監督: カルロス・サウラ、製作: フアン・ヘスス・カバジェーロ、ハビエル・サンチェス・ガルシア、音楽: イシドロ・ムニョス
出演: サラ・バラス、パコ・デ・ルシア、マノロ・サンルーカル、ホセ・メルセー、ミゲル・ポベダ、エストレージャ・モレンテ、イスラエル・ガルバン、エバ・ジェルバブエナ、ファルキート、ニーニャ・パストーリ