吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

E.T. 

 久しぶりの積雪の先週金曜日、長男Y太郎と豪雪の中をバス停まで歩く。「滑るから気をつけなさいよ」と言ってる本人がずるっと滑って「きゃー」と叫んでいる始末。こんな雪の日に行かなくても、と思ったけれど、とっくにチケットは買っているのだから行かねばならぬ。「ゆっきーのしんぐん、こおっりをふ〜ううんで、どおぉこがかぁわやら、みちさえしれっずぅ〜う」と、思わず「雪の進軍」を歌いそうになる。

 午前十時の映画祭、ついに第2年目に突入。この日のチケットは完売だ。実は「E.T.」は未見である。この超有名な超ヒット作を見ていなかったとはこれいかに。これほど流行するものは見たくないという天邪鬼な気持ちがあって、そのうえあの宇宙人が気持ち悪くて見る気がしなかった。で、公開から30年近く経ってついに見た。やっぱりETは気色悪いが、そのかわりにドリュー・バリモアが超絶可愛い。

 大人は偏見に凝り固まっているから異形の他者と交じり合うことができないが、純粋な子どもたちならそれができる。ETのような言葉も通じない見た目も悪い他者とのコミュニケーションは可能なのか? みんな違ってみんないい、というメッセージが込められた作品なのだが、この作品が1982年に大ヒットしたというのにアメリカ人はこの映画から何も学ばなかったと見える。未だにイスラム教徒は他者のままであり、敵であるのだから。それにしても地球へやって来られるだけの高度文明の宇宙人もアメリカ人にかかってはまるで赤ん坊扱い。これほど人をバカにした話もないもんだ。英語をしゃべらなければ一人前じゃないのか?

 本作は、マレビト(ET)が元いたところへ帰り、マレビトとの別れが少年を成長させる、という正統派マレビト映画だ。別れのシーンでジョン・ウィリアムズのかの名曲が大音響で響き、どっと涙腺決壊。でもわたしは泣かなかったけどね。周りからは鼻水を啜り上げる音が聞こえてきた。


 自転車のカーチェイスは今見てもまったく見劣りすることのない名場面だ。子どもの頃、自転車で野山をかけめぐった興奮の日々を思い出す。細かい瑕疵が全然気にならない、とてもよくできた娯楽作。さすがはスピルバーグ、楽しませてもらいました。アメリカ人から見たら英語をしゃべれない日本人もETに見えているんだろうなぁということがよくわかって勉強になったわ。

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E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL
115分、アメリカ、1982
製作・監督: スティーヴン・スピルバーグ、製作:キャスリーン・ケネディ、脚本: メリッサ・マシスン、音楽: ジョン・ウィリアムズ
出演: ディー・ウォーレス、ヘンリー・トーマス、ロバート・マクノートン、ドリュー・バリモア、ピーター・コヨーテ