吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

プロメテウス

 この映画はビジュアル世界が素晴らしい。それだけでも満悦できる。人類の起源の謎に迫る、という触れ込みの予告を何度も見せられたが、要するに「エイリアン」の前日譚。よって、「エイリアン」を見ていないとまったく話にならない。世界観も登場人物の造形もストーリーの細部に至るまで「エイリアン」そのままぶりを楽しめる。

 今度のアンドロイドは「アラビアのロレンス」のファンで、映画を見てはピーター・オトゥールの髪型を真似たりするお茶目さん。いろんな展開が「エイリアン」をなぞっていたり斜め外ししていたりして、シリアスな恐怖映画なのになぜかクスッと笑えるシーンがいくつもある。

 プロダクション・デザインがかなり凝っていて、宇宙船の中や宇宙人の基地など、重厚かつ美しい。ちょっとオリエンタル風味入ってます、的な宇宙人装飾も面白い。何よりも、立体映像の宇宙図やプレゼン画面など、未来のコンピューター映像が美しいことこの上なし。こういうのはやはり映画館で見るべき。宣伝惹句の「人類の起源を探る」なんていうのは期待外れだけど、原始の地球の荒涼たる風景の壮大さは圧倒的な迫力だ。アイスランドでロケしたということだが、こういう風景が広がる国なのか。人生観が変わるような風景だ。

 巻頭の雄大な場面になにやら哲学的な深さを感じさせられるのだが、終わってみればエイリアンの化け物アクション映画だった、というお話。あちこちにちりばめた謎は謎のまま残り、辻褄の合わない話もそのまま強引に放置。ストーリーにあまり多くを求めてはいけない。それよりもやっぱり美しい映像を堪能しましょう。映画館の大スクリーンでこそ楽しみたい。

PROMETHEUS
124分、アメリカ、2012
製作・監督: リドリー・スコット、製作:デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル、製作総指揮: マイケル・コスティガンほか、脚本: ジョン・スペイツ、デイモン・リンデロフ、撮影: ダリウス・ウォルスキー、音楽: マルク・ストライテンフェルト
出演: ノオミ・ラパスマイケル・ファスベンダーシャーリーズ・セロンイドリス・エルバガイ・ピアース、ローガン・マーシャル=グリーン